water [水:mizu]
我々をとりまく自然や社会に対してどのような視点をデザインが示すことができるか。21_21 DESIGN SIGHTでは、今回「水」をテーマとした展示が行われていた。水はデザインのテーマにもなっているのと同時にデザインを構成する重要な要素にもなる。2時間ほど見て回ったが、五感に訴えかける作品の多くに時間を忘れるほどだった。
六本木経済新聞の記事(佐藤卓さんディレクション「water」展-水を体験する作品群)に佐藤氏の次のような発言がある。
開幕前日に開催された記者発表会で佐藤さんは、展示準備を振り返って「デザインするという言葉の中には、能動的な意味合いが強くあるように思う。しかし、水と向かい合っていると、教えられることや単純に面白いと思えることがたくさんあり、何かをしてやろうという気持ちがなくなった。水が、どんな展示をするのか、どういうふうに水と人をつなぐか、ということを教えてくれるような体験をした」と話した。確かに展示作品の多くは「水」という素材の良さをそのまま生かしたものが多くあり、変に気負ったものはほとんど見られなかった。「水」というものがこんなにも美しく、楽しく、そして愛おしいものかということを考えさせられる。
以下、特に面白かった作品。
アートとしてはもう少し工夫して欲しかったと思うところが無いでもなかったが、4番目に展示してあった「水球儀」が「水」に関する情報の提供という意味では面白かった。水球儀を用いて、水の持つ力をわかりやすく解説していた。ただ、壁に映す解説についてはもう少し工夫が欲しかった。
また、7番目の「HOH(ホッ)」には大変癒された。暗い部屋の中で映像と音によって水の魅力を伝えるものだ。リラクゼーションのCDなどで水の音を流すものがあるが、それと同じように人間の五感に訴える水の魅力を見事に表現していた。しばし床に座ってボーっとしていた。
「水の器」(9番~20番)や「ふるまい」(21番)-六本木経済新聞の記事(佐藤卓さんディレクション「water」展-水を体験する作品群)やTABlogの記事(佐藤 卓ディレクション「water」)で写真が見れる-は、揺るぐ特徴を持つ「水」というデザイン素材がうまく活かされていた。「水の器」の中では14番の「water X」がウェブから「water」という単語にヒットする言葉を元にネットの画像を引き出す作品だった。職業がらついつい厳しい目で見てしまうのかもしれないが、あと一工夫あるとさらに面白くなりそうに思った。
このほかに携帯でQRコードを読み込ませ、指定された方法で写真を送るとウェブ上で見れるようになっていたり、水への想いを言葉にして携帯から送ると、床に表示されたり、携帯との連携が多く見られたのも特徴だろうか。携帯だけでなく、インタラクティブ性が多く取り入れられた展示だったと思う。
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我々とは切っても切れない関係の「水」。それを楽しみながら感じることのできる展示。仕事に疲れた方にはお勧め。って言っても明日までだけど。