2013年12月18日水曜日

こんな気持ちに揺れてしまうのは、君のせいかもしれない



車を運転中、急に佐野元春の曲を聴きたくなり、リッピングしてiPhoneに入れてあったベスト版CDをかけた。4曲目に流れた「SOMEDAY」。ちょうど夕暮れ時だったこともあり、少しセンチに昔を思い出した。
窓辺にもたれ
夢のひとつひとつを消していくのは辛いけど
なんだかわからなかったことが
リアルに感じてしまうこの頃さ
カラオケで20代のころによく歌った。その頃もこの歌詞を口にするたびに、「時の流れ」を考えた。今から考えると、10年、いや20年早いぜと言いたいが、モラトリアムな青年期を過ごした当時の僕はサラリーマンになってしまったことにまだ馴染めないでいた。

それから20年。夢は叶っただろうか。そもそも夢はなんだったか。日記もつけていないし、ブログは無かった。なので、ほとんど覚えていない。

消えた夢もあるんだろう。たくさん。
手遅れと言われても
口笛で答えていたあの頃
でも、僕の場合、むしろ今のほうが夢が多いのかもしれない。夢なんて大それたものではないが、やりたいことがいっぱいある。新しいことに挑戦しようとし、周りに呆れられる。

昔はやる前から諦めていたようなことも、やればどうにかなるようと達観するようになった。変なプライドも無くなったので、苦手なことは苦手と言って、誰にでも教えを請う。なんで、以前はあんなにプライドが高かったんだろう。

で、SOMEDAY。やはり、名曲。イントロでの街角の音、それに深いエコー。流れてきただけで、手を止め、思ってしまう。いなくなってしまった彼や彼女。今までのこと、これからのこと。

時代を超えた名曲だと思うんだが、20代やもっと下の人とかはどう感じるんだろう。

2013年11月25日月曜日

第33回つくばマラソン

昨日は、つくばマラソンを走ってきた。

例年、この日は富士山マラソン(旧河口湖マラソン)を走っていたのだが、昨年のDNSの印象が悪かったのと、河口湖から西湖に至る急坂があまりにもきつ過ぎたので、今年はランニング仲間にも評判の良いつくばマラソンとした。

このマラソンは湘南国際マラソンと同じく、平坦で走りやすいコースとして知られている。

そのため、いつもは用意しているペース表は作らず、今まで失敗しているネガティブスプリットを今度こそ実現するため、ひたすら抑えた走りをすることを目標とした。

結果は極めて平凡な記録(グロス:4時間2分0秒、ネット:3時間57分13秒)となったが、どうにかネガティブスプリット(らしきもの)を実現することができた。後半は正直、たびたび歩いてしまうことが多かったのだが、今回は久しぶりにまったく足を止めることなくゴールすることができた。

ランナーズアップデートの結果は次のようになっている。
5kmを28分程度で走ることを目安にしていたので、これを見るとなだらかに下がってきてしまっているが、実際には余力はかなりあった。


Runkeeperでのスプリットは以下の通り。これを見ると、35km〜40kmあたりまでにペースが落ちすぎていることがわかる。この区間は、もちろん精神的にかなり辛くなっていたこともあるが、足が止まってしまうことを恐れるがあまり、自分でペースを上げ過ぎないように気をつけていたのだ。

実は、愛用しているPOLAR RS300XのGPS(別オプション)がうまく動作せず、ペースを頻繁に確認することができなかった(Runkeeperで5分毎のペースは確認できた)。




以上のように、今回も反省の多い結果となったが、少なくともネガティブスプリットの兆し(?)は見せられるようになったので、次回はもう少し微調整をし、これを結果に結び付けられるようにしたい。


2013年11月4日月曜日

第8回湘南国際マラソン

昨日は第8回湘南国際マラソンに参加した。初めての参加だが、噂に聞いていた通り、高低差のほとんど無い、フラットな良いコースだった。海がそんなに見えるわけではなく、コースが単調なのが、やや残念であるが、大会運営も素晴らしく、人気の大会であることがよく分かる。

コースがどのくらいフラットかは、湘南国際マラソンのホームページにあるコース図からわかる。



ただ、コースは二度折り返しがあるので、進行方向で見た場合には、上りなのか下りなのか、わかりにくい。そのため、折り返しを含めて、進行方向での高低差がわかるように、自分で一週間くらい前に描き直してみていた。
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これで見ると、 高低差があるように見えるが、せいぜい10mほどの範囲だ。

一応、いつものように、ペース表を作ってはいたが、レース中はほとんど見る必要は無かった。それほどフラット。また、エイドステーションごとの補給プランも作ってはいたが、さすがにもう何度もこのプランで補給しているので、こちらも見ることは無かった。

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実は、今回は先週よりめまいがするなど体調が悪く、しかも木曜日のランニングで腰を痛めてしまったこともあり、4時間前後で完走できれば良いと考えていた。シーズの始まりで、この後にも何個かエントリーしている大会があるので、無理をしないことを優先とした。

結果は、3時間58分47秒(ランナーズアップデートの速報)だった。手元のRunkeeperでは、3時間57分54秒。これだけ見ると、4時間前後というレース前の目標通りになっているので、万々歳のはずであるが、私としては反省点の多い結果だった。

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最終的な記録はともかく、今回こそ、ネガティブスプリットを成功させたかった。そのために、前半をかなり抑えた。周りに引きずられて、結局1kmを5分26秒前後で走ってしまったが、自分としてはかなりエコな走りができていたつもりだった。フォームを気にする余裕もあり、前半は悪くなかったと思う。

しかし、精神的な弱さが出てしまったのか、残り10kmを切ってから、がくんとペースが落ちた。Runkeeperでの1km毎のスプリットを見るとそれがよく分かる。

前半にあまりにも調子が良いので、多少「3時間50分」(これは今シーズン全体での目標だ)を意識し始めていたのが良くなかったのかもしれない。

32km過ぎから、3時間50分(達成するには、1kmを5分27秒以内で走らなければいけない)はさすがに無理かなと思い始めていて、次に目標をサブ4に変えた。この目標ならば、まだまだ余裕があった。それもあって、心が負けてしまったのだ。

ほぼフラットなはずであっても、辛くなってきた身では、緩やかな上りも辛く思えてくる。ペースを大幅ダウンさせてしまい、しまいには歩くことも。歩いたとしても、自分の中である目印を決め、そこまでしか歩かないようにし、走りだしたときも、少なくとも見えているあの目印の場所までは走ろうなどとする。走ったときのペースはそこそこ速かったので、スプリットも1kmを5分台で走れているところが多かった理由だ。あるペースで走れるのだから、筋肉に限界が来ていたわけではない。実際、さすがに、ここからは走らないともうサブ4も危ないかもしれないと思った、ラスト1kmちょっとは全部走っているのだから、これをラスト5kmとか7kmとかでやれば良かっただけだ。

気持よくゴールしたかったのに、最後を走りきれなかったため、本当に悔いが残る。

会場を後にする際もバスが並んでいたので、二宮駅まで歩いた。2km以上あったのだが、特に問題なく歩けた。こんなに余力があるのならば、なんでレースで使いきらなかったのだろうと反省しながら。

【追記 2013/11/04 17:34】
特別協賛のNew Balanceは特設サイトを設けており、そこにある完全攻略シミュレーターが役に立った。ランナー目線でレースをシミュレーションできるようになっている。

次回に向けて、練習とそして作戦をまた練り直さなければ。

2013年5月18日土曜日

Keith Jarrett Trio 30th Anniversary

Keith Jarrettを初めて聴いたのは高校生のころだ。

もともと雑食だったこともあり、ロックやニューミュージック(当時はこう呼ばれていたJ-POPの一種)だけでは飽きたらず、クラッシックやジャズも聴き始めた。当初難解に感じたジャズもすぐに慣れ、自分の好みも出てきた。その中でも気に入ったのがKeith Jarrettだった。

Keith Jarrettというと、ケルン・コンサートが有名であるが、実は最初に聴いたのはMy Songだった。友人から借りたこのレコードの音色にすっかり虜になってしまい、それから彼の過去のレコードもすべて聴いた。

そのKeith JarrettがJack Dejohnette (Dr)、Gary Peacock (B) のトリオ構成で活動し始めたのが今から30年前の1983年だ。

Standards 1
Standards 1

まだそんなにはジャズを聴きこんでいなかった私でも聴いたことがあるスタンダードに彼らの手によって新たな息吹を与えられる。友人宅で夜に酒を呑みながら聴いた。いっちょまえに音楽談義みたいなことをしながら。

それから30年。公演の説明にははっきりとは書かれていないが、日本でのラスト公演になるのではないかと言われていた。

いつものような3人がステージにはいる。いつもと変わらない彼ら。
気負わず、楽しみながら、だが1つ1つが真剣勝負な様子が伝わってくる。

私が行った5/15(水)は日本公演の最終日だったので、事前にその前の公演の様子などを検索して調べてみていた。彼らのことだから、セットリストも違うだろうと信じながら。どうやらアンコールは3回も行うらしい。こういうのは調べて知っていたほうが良いのか、それともサプライズとして残しておいたほうが良いのかはよくわからない。

だが、実際にはサプライズだった。今回は4回目のアンコールもあった。

実際にはアンコールに入ってからは、これが3人の音を聴く最後かもしれないと思い始めると、一音一音が愛おしく、曲が終わりになるに連れ、なにか熱いものがこみ上げてくる。

4回目のアンコールのAnswer me, my love。これはダメ。泣いて下さいと言わんばかりの曲。最後の一音まで聴かせてもらった。


ありがとう。Keith、Gary、Jack。

Keithが68歳、Garyが78歳、Jackが70歳。私も3人のように背筋をしっかりと延ばして生きていきたい。

それにしても、お礼の挨拶をするときに前に手をぶらーんと下げるのはいつからなんだろう。日本以外でもそうしているのだろうか。いつか私も真似してみたい。

2013年5月6日月曜日

藝人春秋

藝人春秋
藝人春秋

この本は水道橋博士の友人の友人から頂いた。

以前より浅草キッドや水道橋博士はとても気になっていた。TBSで放送されていた「アサ秘ジャーナル」での政治家とのトークも面白く、読んではいないものの伝え聞く「博士の異常な健康」の内容も興味を惹かれるものだった。

この本では博士の人に対する愛情を読み取ることができる。「藝人春秋」という書籍名からわかるように、付き合いのある芸人とのエピソードを通じ、それこそ「春秋」(歴史)が表される。芸人の歴史を語るというよりも、博士との関わりを通じ、その芸人の魅力を語る。成功秘話などが書かれているわけでもないので、その種の話を期待するとがっかりするかもしれない。ここまで人に魅力を感じ、語れる人というのは素朴にすごいなと思ってしまう。

過去のテレビ番組でも、豊富な知識とさらにその知識を広げようという貪欲さに感服することが多かったが、ここでは博士の持つ人への愛を元にした文章にひたすら浸かるのが良いのだろう。文章は好き嫌いがわかれるかもしれないが、私は好きだ。

この本を読んで、何か(知識など)を得られるということはないかもしれないが、人を好きになることはできるだろう。見えているところだけがすべてでない。人付き合いに疲れてしまったときなどにはお勧めだ。元気になりましたという書評があることも頷ける。

本の中では、芸人でない堀江貴文氏や苫米地英人氏なども含まれている。しかし、彼らの常人とはとても思えないエピソードなどを見ると、彼らも一種の「芸」を持った人に違いない。常人というのが下手をすると、凡人になりつつある今、多少の変態性を良い教訓として得るにも良い本だろう ;-)

ところで、私は一度だけ博士の番組で名前が出されたことがある。「博士の異常な鼎談」というTokyo MXの番組なのだが、佐々木俊尚さんが出演され、「2011年新聞・テレビ消滅」に内容などを話された際に、私が以前提唱していた「3Cモデル(コンテンツ、コンテナ、コンベア)」(詳しくは私の著書をお読みください)をフリップで紹介し、私の名前を呼んでもらったのだ。ミーハーなので、なんか嬉しかったことを覚えている。調べてみたら、あの回が最終回だったようだ。光栄だ。

ネット上の医療情報

昨年末に手術したことは以前ここでも書いた。命に関わるものでもなく、緊急性も要しなかったため、病院と私の双方のスケジュールが合う年末を選んだのだが、実は病気が人間ドックで発見されてから3年弱ほど経っていた。

病気を指摘されてから、ネットで病気の情報を検索をするのだが、その病気が日本ではやや珍しいものであったこともあり、ほとんど見つからない。病名が診察の度に変わる(病気が変わるのではなく、細分化されたものに変更されたり、診察の結果、別の病名での呼び方になったりしたようだ)のもあり、その度に検索するのだが、それでもあまり見つからない。学術論文でもそんなには見つけられなかった。

当初はかなり不安を感じていたこともあり、英語での情報もあたった。すると、予想通り、日本語よりははるかに大量の詳しい情報に行き着くことができた。私の場合は、結果として命に関わるものではなかったし、その病気に関しては恐らくは日本でも最も権威のある先生がいる(論文を検索して確認した)病院にかかっていたので、英語で得た情報により治療方針などの変更をお願いすることはなかったが、病気によっては、この情報の差はそれこそ運命を分けるものになりかねないのだろうなと思う。

言語によって、情報空間が分離されることにはプラスとマイナスの両面があるが、こと医学に関しては母集団が多いほうがプラスなことも多いだろう。法制度なども異なるため、単なる言語の壁だけの問題ではないとは思うが。そもそも英語でさえ、「信頼出来る」医療情報がネットにないというのが課題になっているとも聞く。

専門家からの情報に加えて、患者本人や患者家族が発する情報というのも参考になる。しかし、これも病気によっては必ずしもプラスに働かない現実がある。私の病気と似た名前の治療方法がない深刻な別の病気があった。検索すると、そちらも引っかかってきたので、「闘病記」という名前がついたようなブログなどを読んでみるのだが、多くが、途中で更新が止まっている。

厳しい現実を知ることも重要ではあるが、藁をも掴む気持ちで情報を探す人にとってはあまりにも酷な現実である。せめてネットがもっと賢くなって、望む情報を得られるようになればと思う。

2013年4月29日月曜日

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記
月とにほんご 中国嫁日本語学校日記

一時ほどではないが、会社にいろいろな出版社から献本が届く。IT系の本や付き合いのある著者や編集者からならわかるのだが、たまに送られてくる理由が良くわからないものもある。

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記」もそんな本。

どこかで見たことのある絵だなと思ったら、「中国嫁日記」の著者の本だった。こちらもちゃんと読んだことは無いが知っている。

コミックエッセイ(それともエッセイコミック)というのだろうか、著者の日常をコミック形式と軽い文章で綴ったもの。読みやすいので、重い物を読む元気が無いときとかに良い。睡眠前や入浴時など。

そんな軽い気持ちで読み始めたのだが、中国嫁から見た日本語を綴った本書は思いの外(失礼!)、中身も結構充実している。矢澤真人氏(筑波大学教授)が監修として中にも登場しているが、日本語を学ぶ人から見た日本語の不思議が解説されている。

たとえば、「ぜんぜん」は否定で受けると私は覚えており、最近の否定以外でも受ける文章を正しくないと思っていた。しかし、「ぜんぜん」は明治時代にできた言葉で、当時は「すべて」という意味だったと言う。その後、否定で受けるのが一般しただけであり、現代の否定以外で受けるのは元の用法が復活したに過ぎないという。

そのほかにも、「生きた」日本語としての解説がされており、某IMEを開発したときに叩かれた身としては (^^;;; 自分たちの主張が間違っていなかったと理論武装できる大変心強い解説だ(じょーだんですので、本気にしないように)。

ほかにも、「ビルが建つ」のような言い方は中国語ではしないらしく、不思議な表現に思えるらしい。「XXX(人)がビルを建てる」が正しいはずであり、そこに主体をぼかす日本人の特徴が現れているとも言う。

読みやすいわりに(再度、失礼!)、得るものが多い。献本、ありがとうございました。

2013年4月22日月曜日

長野マラソン2013

昨日は長野マラソンだった。

昨年初めてサブ4を達成したのがこの大会だ。4月下旬ということもあって、天候にも恵まれることの多いこの大会で、今年は3時間40分台を狙っていた。

今年1月の館山若潮マラソンで、初めてグロスでサブ4を達成したので、高低差もあまり無い走りやすいコースの長野マラソンならば、3時間49分ギリギリならば行けると踏んで、そのような練習をし、ペース配分を考えていた。

結果は惨敗。

3時間40分台どころかサブ4も達成できなかった。グロスで4時間8分。ネットでもおそらく4時間3分くらいだろう(公式記録は後ほど郵送されてくる)。下は速報値だが、スタート地点に着くまでに5分ちょっとかかったことになっている。


数日前より、天気が悪くなりそうなことは予報で知っていた。だが、まさか雪になるとは思わなかった。いや、数日前から前日にかけて、天気予報を確認するたび(本当に数時間おきにチェックしていた)、低くなり続ける最高気温と最低気温、そして「曇り時々雨」から「曇り時々雪」に変わっていたのは知っていたので、ある程度の覚悟はしていた。

しかし、前日(土曜日)も雨はぱらぱらと降ってはいるものの、傘が無くてもどうにかなる程度でもあり、そんなには寒くなかったこともあって、雪が降るとは言っても、みぞれが明け方に降るくらいではないかとたかをくくっていた。実際、4時半に朝食を取ったときには雨だった。それが朝食を取り終え、食堂から部屋に戻る際に外を見たら、雪になっており、6時過ぎにホテルから大会用の駐車場に向かった際には、ホテルの人にノーマルタイヤだと滑るので気をつけて下さいと言われるほど。駐車場への道路はところどころすでにかなり積もっており、こんなので本当に大会が開催されるか、それどころか東京に車で戻れるのかと不安になった。

スタート会場でも路面は雪で覆われていた。ランナーがスタート地点に着いてからは、ランナーによって踏まれたので、雪のままでは残っていなかったが、ところどころ水たまりになっていた。スタートしてからもずっと同じ状態。特に、最初の5kmが酷かった。たまに完全に渋滞状態になってランナーが止まるので、何かと思ったら、大きな水たまりを避けているためだった。上の速報値を見るとわかるが、最初の5kmを31分もかかっている(計画では28分)。水たまりを避けるために、右に左に動いたり、飛び跳ねたり、余計なエネルギーも使ってしまった。

こんな状況だったので、事前に計画していたペース配分で走ることはそうそうに諦めた。いつものように、ペース配分を書いた表を持参していたのだが、開始3分ほどで使い物にならなくなった。懸命に頭の中で、どのくらいのペース配分で走れば良いかを計算した。

今回は少し前に読んだ「マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる!」で学んだ、ネガティブスプリット、すなわち後半にペースをあげることを考えていたので、序盤から計画が狂ったものの、というよりも、だからこそ、後半にペースを除々に上げていくようにした。

寒さ、特に風が厳しかったので、途中で3時間49分は無理そうなことは気づき始めたが、それでもサブ4は狙っていた。変更した計画通り、35kmくらいまでは除々にペースをあげて、そのままであればおそらくネットでサブ4は可能だったろう。だが、足が悲鳴を上げ始め、手もかじかんで、持参したサプリメントの口を開けることもできない(給水所のスタッフに開けてもらった)。止めは36km過ぎに、どうにも我慢ができなくなって、トイレに行ってしまったことだ。これで3分くらいロスをした。

そこまではどうにか気力で、サブ4を目標にしたいたのだが、この3分のロスでそれがかなり難しくなったことを知って、ペースは大幅にダウン(Runkeeperでの記録)。結果、書いたような惨敗だ。

雪という予想外の天候もあったとは言え、35kmの壁にまたもやぶち当たり、ネガティブスプリットを実践できなかったのは不甲斐ない。普段からのもっと地道なトレーニングが必要なことを強く感じた。

招待選手であった川内優輝選手 - Wikipediaはあの悪天候の中でも見事に日本人初Vを飾っている。しかも、彼は1月から4ヶ月連続のフルマラソンだ。言い訳はできない。

悔しさもかなり残るが、雪の中を走るという貴重な経験ができたことを前向きに捉えたい。実際、今となっては結構面白かったと思っている。

とにかく、今シーズンのマラソンはこれで終わり。来シーズンに向けて、しばらくはゆっくりと走ろう。

2013年3月30日土曜日

マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる!

マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる! (ソフトバンク新書)
マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる! (ソフトバンク新書)

マラソンレースを走るときには、事前にペース表を作り、それを忠実になぞるように走る。ペース表から大きく外れない限り、目標とする時間内にゴールすることができる。

過去に挑戦したレースには、ほぼすべてこのような方針で臨んだ。たとえば、今年1月の館山若潮マラソンでもそうだ。レース前日に書いたブログ記事で、コース図などを元に計画を立てたことを紹介している。結果は、翌日書いたブログにある通り、計画とあまり外れることなく、無事目標を達成することができた。

ペースは、コースによって多少異なるものの、基本は後半に緩やかに遅くなることを前提としている。前半を飛ばし過ぎないようにするのは鉄則だ。実際、前半にペースを上げすぎてしまったレースはことごとく失敗しているので、それは理解しているのだが、それでも後半は筋肉痛やエネルギー切れが起きるのが当たり前であることもあって、後半は前半よりもかなりペースが落ちることを覚悟して走る。

このように後半にペースが落ちることを「ポジティブスプリット」と呼ぶが、その逆に、後半のペースが前半を上回ることを「ネガティブスプリット」と言う。

本書は、この「ネガティブスプリット」を紹介するものだ。

本書によると、近年のマラソンレースでの勝者はほぼすべてこのネガティブスプリットで走っているという。

確かに、ネガティブスプリットとまではいかなくても、最後まであまりペースを落とさずに走りきったときの記録は悪くない。走り終わった際の爽快感も格別だ。

どうしても自身の持久力に自信がないため、前半に貯金をしようとする心理が働いてしまいがちなのであるが、逆に後半に山を持ってくるほうが良いのかもしれない。

実は、このことは私が参考にしている「非常識マラソンメソッド」の中でも勧められていた。だが、どうしても自信がなかったので、ポジティブスプリットで走ってしまっていた。

何故、ネガティブスプリットが良いのか、本書では次の5点を挙げる。
  1. 将来予測が可能な距離からペースを上げられる
  2. 後半の失速を防いで失敗レースを避けられる
  3. 心理的にラクだからペースを上げられる
  4. 30kmの壁がなくなる
  5. ペースメーカーの影響を受けにくい
将来予測とは「残りの距離を余力を残さずに走りきるにはどのくらいのペースを刻むべきか予測すること」である。100m走でペースなどを考えなくて済むのは、全速力で走りきれる距離だからだ。42.195kmにもなると、ペース配分が重要となる。これに必要となるのが将来予測だ。ネガティブスプリットで走れば、残りの距離と自分の余力を天秤にかけ、いけると思ったところからペースを上げることができる。

心理面での利点も頷けるものだ。後半ペースを上げて走れば、ペースが落ちてきたランナー達を抜いていく快感を得ることができる。実は、最初にフルマラソンに挑戦したときは、若干足に違和感があったことなどもあって、前半をかなり抑え目に走り、後半を普段のペースまで戻した。記録は平凡なものであったが、その際に、この「後半にほかのランナーを抜きまくる」快感は味わったことがある。確かに、ほかのランナーを抜いていく際の爽快感は疲労をふっとばすものだった。

30kmの壁と言われるように、後半失速するのは誰しも経験するものだが、筆者はこの原因を 1) グリコーゲンの枯渇による疲れ=抹消性疲労と 2) 脳の疲れ=中枢性疲労の2つによるものだと分析する。30kmの壁はハンガーノックアウトと言われるエネルギー源であるグリコーゲン(糖)の減少が理由であるが、同時にその糖が減少したことを脳が知ると、脳も糖を栄養源として活動するため、自ら(それはすなわち身体全体を意味する)の危機と判断し、運動野からの指示を低下させる。これが後者の「抹消性疲労」だ。筆者は、30kmの壁に陥っても、最後の1kmはペースを上げられたり、ゴール間際で全速力で走れたりするランナーが多いことから、1) の理由ばかりではなく、2) の理由も多いのではないかと推測する。ネガティブスプリットは先程の心理面での利点もあり、この問題を解消する方法となりうる。

マラソンレースでは、市民が参加するようなものでも、ペースメーカーが用意されていることが多い。3時間半、4時間など、どの時間内で完走をしたいかによってついていくペースメーカーが異なる。ペース配分に悩むランナーにとっては大変助かる存在ではあるが、問題点も多く指摘されている。それは、ペースメーカーもイーブンペースで必ずしも走るのではないことだ。これも「非常識マラソンメソッド」で指摘されていたが、ペースメーカーは宣言したタイムよりもちょっとでも遅ければクレームが寄せられるので、ついオーバーペースでそのタイムよりも速いペースで走る。特に、前半にその傾向が見られる。実は、館山若潮マラソンで、私は4時間完走を目指すランナーのためのペースメーカーに最初はついていってみた(ペースメーカーについていくのがあまり良い方法ではないことを知っていたのだが、ちょうど近くを走っていたので、少しだけついてみた)のだが、混雑している最初の10kmをランナーの隙間を縫うようにして走っていていて、あっという間に見失ってしまった。彼についていけるだけの走力を持つランナーだったら、ペースメーカーに頼らなくても大丈夫だろうとその時も思った。ネガティブスプリットでは、そもそもの走り方が後半にペースをあげるものなので、通常のペースメーカーのペース配分と異なる。なので、最初からペースメーカーの存在には惑わされることはない。

以上、すべて納得できるものだろう。

本書では、それを踏まえて、ネガティブスプリットを実現するために必要な走力を実現する練習法も解説している。

ここでも出てくるのが、「42.195kmの科学」でも紹介されていたマラソンを速く走るための3要因だ(乳酸性作業閾値、大酸素摂取量ランニングエコノミー)。それぞれを高めるための練習法が解説されており、大変参考になる。

一番重要なのが、これもまた「42.195kmの科学」で書かれていたことと重複するのだが、セルフコーチング、すなわち、自身でゴールを決め、そのための練習を計画し、実施することだ。トップアスリートでもコーチなどに頼らず(もしくは頼っても最後は自分で決める)自らがコーチとなり自身の身体と対話し、能力を高めていくことが一般的となっているそうだ。

本書の中で、マラソンの練習はビジネスの世界で言うPDCA(Plan、Do、Check、Action)と同じだと
筆者は言う。奇しくも、私が最近IPAの未踏カンファレンスで話したのと同じことを言っている。

自分の考え方がプロが考えるようなことと同じだとわかって、ちょっと嬉しい。

さて、今までもペース配分については、後半に山が来るようにというのは聞いていたのだが、ここまでしっかりと説得力のある形で「ネガティブスプリット」を説明されると、これを試してみないわけにはいかないだろう。

次回の長野マラソンで、トライしてみようと思う。

そのためには、まず練習。そして練習。単に走るのではなく、速く走るための3要因のどれに効く練習かを意識しながら。

2013年3月29日金曜日

42.195kmの科学

先日、IPAの未踏カンファレンスというイベントで「走る科学」というタイトルで講演を行なった。

以前に書いた「ランニングのすゝめ」というブログ記事でも触れたように、ランニングと科学/工学とは親和性が高いと感じている。そのようなことをこのカンファレンスでは話したのだが、そう言っている割には、あまりランニングを科学的に分析したことが無いと思い、Amazonで探してたどり着いたのが、この本だ。

42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)
42.195kmの科学  マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)

サブタイトルに書かれていることからわかるように「つま先着地とかかと着地」論争が本書のテーマの1つとなっているのだが、実はそれはあくまでも結果として、この走法の違いが世界のトップランナーの速さの秘訣(の1つ)だということに過ぎない。この結論にたどり着くまでに、世界のトップランナーを一年間に亘って取材班は追い続けている。

本書は昨年放送されたNHKスペシャル「ミラクルボディー 持久力の限界に挑む」の取材班(善家賢氏)が放送ではカバーできなかった話も含めて書籍化したものだ。私は、番組をつい見逃してしまっていたので、大変ありがたかった。

なんちゃって市民ランナーの1人であり、箱根駅伝などの大ファンでもある私でも知らなかった事実が本書では明かされる。たとえば、ここ数年のマラソンの上位はほぼケニアとエチオピアの選手によって独占されている。IAAF(国際陸上競技連盟)による歴代記録上位100傑で、この2カ国以外の選手はわずか6人しかいない。日本人は高岡俊成選手が1人入っているだけである。

最近の日本男子マラソンの低迷は知ってはいたものの、私の世代では、瀬古選手や中山選手などが強かったイメージがまだ残っているので、日本が弱くなったのだとばかり思っていた。実際には、東アフリカ地域だけが上位を占めるような状況になっていたわけだ。しかも、この2カ国の選手であっても、新しい選手が次から次へと台頭し、ロンドン五輪ではなんと隣国ウガンダの選手が金を獲った。

本書では、ロンドン五輪前であったため、その当時にフルマラソンを2時間3分台で走った人類史上3人しかいない男たち、エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエ選手、ケニアのパトリック・マカウ選手、同じくケニアのウィルソン・キプサング選手に密着し、その強さの秘密を科学的に分析した。

長距離を速く走る要因は、次の3つだと本書の中では整理されている。

  1. 最大酸素摂取量(VO2max) − 糖や脂肪を分解しエネルギーを生み出す際に必要となる酸素をどれだけ体内に取り込めるかの能力。
  2. 乳酸性作業閾値(LT) − 糖が分解される際に生み出される乳酸は筋肉への負担がある閾値を超えると、急に増加する。その閾値をLTと呼ぶ。有酸素運動から無酸素運動に切り替わるポイントとも言われる。このLTが高ければ高いほど、すなわちLT内で走れるスピードが速ければ速いほど、疲労せずに速い速度で走り続けることができる。
  3. ランニング・エコノミー −走りの効率性であり、いかにエネルギーを消費せず走れるかの能力。ランニングフォームなど大きく影響を与える。
本書では、トップランナーがこの3つの要因において、どのような能力を持っているか、またどうしてその能力が得られたかを科学的に解明している。結論として、それらの能力は生まれた育った土地や環境によるものが多いことがわかる。そのため、一般市民ランナーはあまり参考になるものではない。ほかの国のトップランナーであっても、そのまま同じことをするというわけにはいかない。実際、ロンドン五輪の日本代表である山本亮選手も驚くような結果であった。

生まれ育った環境。それは高地であることや裸足で長距離を走るような幼少期を過ごしたこと、厳しい競争社会など。

そのままの形では参考にならないとはいえ、本書の最後にも書かれているように、日本でも既成の実業団とは違う形で育ったランナーが出てきている事実がある。そのようなマラソン界の新星たちの中にも、本書で紹介されているトップランナーと同じような志向を持っている選手がいる。本書および番組で行われたような科学的なアプローチと組み合わせることで、日本選手もまたトップに返り咲くことがあるのかもしれない。

また、一般市民ランナーも、ひたすら走るだけではなく、先ほどの3要因を理解した上で、限られた時間での練習を効率的に、どの能力を高めるためのものであるかを判断し行なっていくために、本書は良い材料となるだろう。

振り返ってみると、今まで読んだランニング関係の本や雑誌などでも、各練習法が何を鍛えるものであり、マラソンの最中に身体には何が起きているかなどは解説されていた。残念ながら、それらはなかなか頭に残らなかったのだが、このように世界のトップランナーを科学するというアプローチは私の性に合っているようだ。今、自分の中では、マラソンをモータースポーツになぞらえてイメージするようになっている。排気量を増やすためには、燃費を良くするには、足回りを頑丈にするには…など。そのようにイメージして練習法を選ぶようにしている。

1つ残念なのは、本書は一切グラフや画像が無いことだ。

番組を見逃してしまったと言ったのだが、ひょんなことから本書を読んだ後に番組も見ることができた。さすが、NHKスペシャルという感じで、非常にわかりやすいグラフや画像が多く使われていた。一部でも本書に挿入されていたら、よりわかりやすくなっただろうと思う。それだけが少し残念だ。

ところで、サブタイトルにもなっている、走法の論争、つま先着地 vs. かかと着地 であるが、最近ではつま先着地が有利のようだ。本書でとりあげられたトップランナーは全員つま先着地である。ただ、そこには単に「つま先着地」というレベルではない驚くべき違いがあった。これも番組の映像だと文章だけよりもよりわかる。

出し惜しみしているようで申し訳ないのだが、つづきは本をどうぞ。もしくは、NHKオンデマンド(って、オンデマンドで提供しているかどうか知らないけど)で。

NHKの回しもんじゃないよ (^^;;;

2013年2月24日日曜日

Marshall Headphone Major

ギター小僧の心を鷲掴みにしたMarshallアンプ。

高校生のころに憧れた、ハードロック系のバンドのステージに積み重ねられていた、あのMarshallアンプのロゴが付いたヘッドフォンを先週、吉祥寺のパルコで見つけた。

MarshallヘッドフォンMAJOR

ZDヘッドフォン

耳にかけてみると、つけ心地も良い。何よりも、ヘッドフォンでありながら、アンプのと同じデザインがされている。後で知ったのだが、イヤー部分のクロスは実際にアンプで使われているものと同じだそうだ。

その場での衝動買いはどうにか抑えたものの、その後も気になって仕方ない。結局、Amazonで買ってしまった。

箱はこんな感じ。箱からしてカッコよい。永久保存。


プラグがギタープラグのように金メッキが施されている。カッコよい。


音も悪くない(* 私はあまり音にこだわらないほうです)。マイクも付いているけど、使わないかな。

なんか急に音楽をたくさん聴きたくなってしまった。久しぶりにベースを弾いてしまったりして。

見た目って大事。

2013年1月27日日曜日

第33回 館山若潮マラソンの結果

昨日書いた通り、今日は館山若潮マラソンを走ってきた。

昨年は天候が悪く、冷たい風に震えながら走ったのだが、今日は暖かく、大変走りやすかった。それもあって、あわよくばと考えていたサブフォー(4時間以内で完走)を果たすことが出来た。

グロスで3:58:31。昨年の長野マラソンではグロスで4:01:51で、ネットで03:58:14だったので、グロスで今まででのベスト記録だ。手元の時計では、ネットでも3時間57分台を出しているので、ネットでもベストだったのではないか(後から公式記録が出たが、ネットでは3時間55分53秒だった)。

自画自賛になるが、事前に立てたペース配分の通りにほぼ走ることが出来たのも勝因の1つだろう。下に5km毎に、事前の目標と実際の結果をグラフにしてみたものを貼る。前半がやや目標よりもペースが速く、後半が少し遅くなっている(縦軸が時間なので、下側にデータがあるほうが速いことを示す)。


後半に厳しい上りがあるので、前半を出来るだけ抑え目に走った。それでも周りに釣られて少しペースが速くなったようだ。後半にペースが想像以上に落ちてしまったので、もしかしたら結果的にはそれが功を奏したのかもしれない。

後半のペースの落ち込みは多分に精神的なものが大きいように思う。というのも、40kmを過ぎて、ゆっくり走ってはサブフォーが危ないかもしれないというのがわかってからはちゃんとペースを上げられている。

前半が終わった時点で、これは3時間45分近くまでいけるのではないかと一瞬思ったのだが、それが無理だとわかると、サブフォーさえ実現できれば良いと、どっかで自分を追い込むことができなかったのだろう。

今後は35km以降にペースを落とさないようにするトレーニングをしよう。

今回は運営も素晴らしかった。昨年は、Runnetの大会レポートでも多く指摘されているが、手荷物預かり所の手際の悪さが目立ったが、今年は手荷物預かり所を大幅に拡充し、解決されていた。

お汁粉ととん汁が無料サービスなのは昨年と同じ。レース後だけでなく、レース前にもいただけるのが嬉しい。スタートが10時からなので、少しお腹が空いてしまっていたのだが、お汁粉の餅で腹を満たすことができた。

スタッフの方も暖かいし、来年もまた参加したい。

さて、今シーズンはあと1つ、長野マラソンが4月にある。がんばろう。

2013年1月26日土曜日

フルマラソン前日 〜 第33回 館山若潮マラソン

明日は館山若潮マラソン大会

フルマラソンは苦い思い出になってしまった昨年の富士山マラソン以来。

昨年もこの大会に出場したのだが、その時は、米国出張から帰国した翌日の土曜日にPerfumeのライブをさいたまスーパーアリーナに行き、その翌日の日曜日に走ったという無茶をやったため、結果はさんざんだった(4時間10分をやっと切るくらい。Runkeeper上の昨年の結果)。

米国出張中から軽く足を痛めていたにも関わらず、Perfumeのライブではしゃぎまくるなど、完全にマラソンを舐めていた。深く反省している。

調整などが無茶苦茶だったこともあるが、昨年はコンディションも過酷なものだった。気温が低い上に、冷たい海風が強く吹く。大会レポートなどを読むと、昨年が特に厳しかったようなので、今年はもう少し穏やかな気候であることを期待したい。

また、コースも後半に急な上りがあるなど、難コースとして有名らしい。


昨年はコース図なども見ないで参加したのだが、今年は昨年の反省を踏まえて、ペース配分などの検討は行った。途中のエイドステーションでのエネルギー補給も確認済みだ。走りながら聴く音楽も選択済み。

ただし、明日はあまり無理をしないようにとも考えている。昨年暮れの手術からまだリハビリな感じでしか走れていない。2週間前に走った谷川真理ハーフマラソンも昨年よりタイムがかなり悪かった(無理をしないようにしたこともあるが)。難コースであるということも考えて、目標は昨年よりは悪くない4時間10分以内くらいで、あわよくば4時間切り(サブフォー)を狙うというような形で行こうかと思う。

参照:マラソン本番準備 〜富士山マラソン前日〜

2013年1月15日火曜日

The Joy by Yuji Toriyama

鳥山雄司さんというミュージシャンがいる。

ギターを始めた私がロックからジャズやフュージョンなど幅広い音楽に接するようになったころに、彼はギターリストとしてデビューした。最初は高中正義さんのバックで弾いているのを聞いたのではないかと思う。凄いテクニシャンだなとは思ったが、当時は私には良さがあまりわからず、多くいる若手ギタリストとして以上には気に留めていなかった。

彼と再会したのは、数年前。

ストレスにより調子を崩していた。好きな音楽を聞くと良いのだろうと思い、いろいろな音楽を聞いた。人から勧められたモーツアルトの交響曲もCDを購入し、通勤時や睡眠前に聞いたりもした。

いろいろと聞いていた中に、何故かリラクゼーションに分類されていた彼のCD「Dear」があった。

Dear

さして期待もしないで買ったのだが、オープニングの「The Joy」を聞いた瞬間に、その広がる音の世界をすっかり気に入った。このCDを毎日のように聞いた。オープニングのこの「The Joy」と次の「Surprise & Sunrise」の2曲が特にお気に入りだったが、ほかの曲も秀逸だった。リラクゼーションCDというと、安直な作りの楽曲がチープなアレンジで収められただけのことも多いのだが、これはまったく違った。

最近久しぶりに聞き返したのだが、まったく色褪せない。

彼の代表曲というと、TV番組「世界遺産」のテーマ曲となった「The Song of Life」と言われているが、私的にはこの「The Joy」だ。

Sony MusicのサイトAmazonで試聴できる(Amazonがイントロ部分で、Sony Musicが盛り上がっている中間部分なので、この順番で聞くと良い ;-))。

気分が落ち着きたい時にお勧め。

2013年1月7日月曜日

亀田音楽専門学校

BASS MAGAZINE (ベース・マガジン) 2007年 11月号 [雑誌](CD付き)

1月3日と4日の2日に渡って、NHK Eテレで「亀田音楽専門学校 J-POPの魅力に迫る」が放送された。昨年解散した東京事変の名ベーシストとして、さらには数々のJ-POPのヒット曲のプロデューサー/アレンジャーとして有名な亀田誠治さんが、J-POPのヒット曲の秘密を解説した番組だったのだが、大変面白かった。

1月3日の1限目は「泣ける歌 胸キュンコード学」と題して、コード進行からヒット曲の技法を解説した。キーワードは「クリシェ」

クリシェとはコード進行の中で1音を半音ずつ上昇または下降させる技法だ。例えば、C→CM7→C7→C6というコード進行では、C、B、B♭、A(以上、単音)と半音ずつ下降する音があり、最後のA(単音)が「行き場を探す」状態になり、これが歌を泣かせる要素になるという。この半音ずつ下降する音以外はCEG(ドミソ)の共通するコードとなり、C(コード)の安定状態からC6のAの不安定な状態を作り出し、これが次に展開されるD(コード)のD(単音)の安定状態で落ち着くことになる。番組では、これを「音符同士が恋をする」という言い方をしていた。

例として出されたドリカムの「Love Love Love」では、「ねぇ、どうして〜」と歌われる部分のコードにおいて、同じく半音ずつ下がるクリシェが使われていることを紹介していた。

ゲスト講師で参加していた平井堅さんが紹介したJ-POPは次の3曲。
  • 時の過ぎゆくままに(沢田研二)
  • カブトムシ(aiko)
  • Innocent World(Mr. Children)
いずれもクリシェが用いられた楽曲だ。

「時の過ぎゆくままに」では「ときのすぎゆくままに」の「ままに」の不安定さが、「カブトムシ」では「あなたのみみによせた〜」の「あなたのみみに」の不安定な部分が、クリシェを使った箇所である。いずれも、その後の安定状態を導くための「音の待ち合わせ」場所である。

一方、「Innocent World」でのクリシェの使い方は「サビへのジャンプ台」だ。サビ直前の「Mr.Myself」の部分のメロディはコード進行で言うとG#7→Aと移る部分であり、この部分は無くてもサビ前からサビまではつながる。実際、番組でこのクリシェ部分を抜きにして、平井堅さんが歌ってみていたが、つながることはつながるのであるが、なんとも盛り上がりに欠ける。つまり、この部分のクリシェの存在はサビに向けて不安定から安定を作り出すために必要な部分だ。

同じように「サビへのジャンプ台」としてクリシェを使っているのが、平井堅さん自身の「瞳をとじて」だ。サビ直前に「Your Love Forever」と歌いあげる部分があるが、これは最初は無かったそうだ(平井堅さん談)。盛り上がりを作り出すために、クリシェを挿入し、今の形になったという。ここのコード進行はG7→G7/B→A♭M7。番組では、この最後の「A♭M7」を「涙ためコード」と呼んでいた。

1限目の最後に紹介された曲は松田聖子さんの「瞳はダイアモンド」。この曲は「クリシェ三昧」と言えるほど、クリシェが使われている。ルート(根音)が下降するクリシェで、自然とその対位になる形でメロディ(主旋律)が上昇する。作曲者は呉田軽穂さん、ユーミンだ。さすが。

1限目はこの「瞳はダイアモンド」を平井堅さんが歌い、亀田誠治さんがベースを弾くという贅沢な生演奏で終わった(アレンジも亀田誠治さん)。

1月4日に行われた2限目は「泣ける歌 メラメラのメロディ学」と題し、「メラメラ=情念」をテーマに解説が行われた。キーワードは「リフレイン」

まず取り上げられたのが、小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」。「あのひあのときあのばしょできみにあわなかったら」の部分は同じメロディを繰り返している。これがリフレインだ。ベートーヴェンの運命などでも使わているようにクラシカルな手法だという。

この繰り返しの後に続くメロディと合わせて、せき止めていたものを吐き出すような強い効果があるという。番組では「人に気持ちを伝えるには繰り返し言うでしょう」という説明もされていた。

サザンの「真夏の果実」も同じくリフレインを効果的に使った楽曲だ。「ラブストーリーは突然に」が小さな箇所を繰り返していたのと比べて、こちらの「真夏の果実」は大きな箇所を繰り返している。

平井堅さんが紹介したのは、次の3曲。

  • 本能(椎名林檎)
  • Automatic(宇多田ヒカル)
  • お久しぶりね(小柳ルミ子)
平井堅さんいわく、「メラメラというのには演歌的なものを感じる」。マイナーキーで歌い上げるものであり、歌唱法としてもビブラートなどを効果的に用いることが多いという。宇多田ヒカルさんの曲も声が特徴的だ。昭和歌謡のようなものが好きだという平井堅さんは小柳ルミ子さんの「お久しぶりね」の桜の花びらがひらひらと舞い落ちるような歌い方に憧れたと言っていた。

「メラメラ=情念」と言ったら、この人でしょうと言って紹介されたのが、中島みゆきさん。それも「わかれうた」が例に出された。この曲はリフレインとともに、「音符1つ1つに言葉をはめている」のが特徴的だという。「短く、等間隔」に言葉が音符に載せられる。これにより「縦」のノリが作られる。人は強調したいときに「だ・か・ら」とか「はっきりいって」(この2つとも本当は「傍点」を入れたい)のように、一音一音を区切って発音する。これと同じような効果があるという。番組では、同じ中島みゆきさんの「時代」が横に流れるような歌になっているのと比較していた。「時代」をわざとスタッカートで平井堅さんに歌ってもらうなどもして、わかりやすく解説していた。


2限目の最後は平井堅さんや亀田誠治さんの生演奏で、平井堅さんの「告白」。この「告白」もリフレインを用いたものであり、「わかれうた」のように一音一音をしっかりと音符に載せたものとなっている。

ー*ー*ー*ー*ー*ー

わずか30分ずつの番組であったが大変濃い内容のものであった。言葉ではなかなか伝わらないと思うので、もし再放送があったら是非見て欲しい。お勧め。

ヒットの理由―人気音楽プロデューサーが読み解く ヒット曲は偶然生まれない
ヒットの理由―人気音楽プロデューサーが読み解く ヒット曲は偶然生まれない

2013年1月6日日曜日

マラソンはゆっくり走れば3時間を切れる! 49歳のおじさん、2度目のマラソンで2時間58分38秒

マラソンはゆっくり走れば3時間を切れる! 49歳のおじさん、2度目のマラソンで2時間58分38秒 」を読んだ。

この本はサブスリー、すなわちフルマラソンを3時間を切って走ることを目的にしているランナーのためのものであるが、私のようにサブフォー(4時間以内で完走するレベル)のランナーにも役立つ。

マラソンはゆっくり走れば3時間を切れる!   49歳のおじさん、2度目のマラソンで2時間58分38秒 (ソフトバンク新書)

書いてあることは極めてシンプル。

距離信奉を止めて、メリハリのある練習をすること。

野口みずきさんの言った「走った距離は裏切らない」という名言にあるように、記録を良くしようと思った場合、ある程度の距離を走ることが必要である。走らないで記録を良くしようと思うのは虫が良すぎる。

しかし、走り過ぎることによる故障もアマチュアランナーには大変多くある。故障までいかなくても、疲労が抜けずにレースに臨むことになり、凡庸な記録に終わることもあると言う。

本書では、少ないポイント練習で高い負荷をかける代わりに、それ以外の練習は疲労抜きジョグに徹することを勧めている。疲労抜きジョグは自分の最速のペースの半分のペースで走ることである。例えば、1kmを3分半で走る人の場合は、1kmを7分以上かけて走るくらいのペースだ。これくらいのペースで走ることにより、ポイント練習での疲労を抜くのが良いとしている。

ポイント練習はインターバルとペース走を勧めている。最初はインターバルでスピードを身につけ、その後にペース走に移ると良い。

ここまでメリハリをつけることを説いている本は初めて出会ったが、書かれていることはごくごく当たり前のことである。しかし、それがなかなか実践できない。自分の練習を振り返ってみても、距離を走ることに満足してしまい、毎回の練習がなんのための練習なのかわからなくなっていることが多い。ジョギングのつもりで走りはじめたのに、ついついペースが上がってしまい、かと言って、負荷をかけるほどの練習にはなっていないというケースがままある。一方、ポイント練習のつもりが、途中で辛くなり、さほど負荷がかからないままで終わってしまっていることも多い。

本書では、サブスリーを狙うランナーには、
インターバル走(週1回 1000m × 7本)1km3分45秒を5分30秒〜6分回し
を、サブ3.5を狙う(3時間半切りを狙う)ランナーには、
インターバル走(週1回 1000m × 7本)1km4分15秒を6分回し
を勧めている(スピードをつける時期)。

「1km4分15秒を6分回し」というのは、1kmを4分15秒で走ったら、1分45秒休む(スローペースでジョギングなど)というのを繰り返す(上の例の場合は7回繰り返す)ということを言う。

持久力をつける時期は、ペース走を週に10kmほど行うだけで良い(サブ3.5を狙うランナー)と言う。

練習にメリハリをつけるという話は、小出監督が書かれた「マラソンは毎日走っても完走できない―「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ 」(参照:過去ブログ記事「走る本」)でも言われていた。忙しかったり、疲れていたりすると、頭ではバリエーションを設けた練習をしなければいけないとわかっていても、ついつい単に走るだけになってしまう。本書の内容を元に、自分のレベルに合わせた練習メニューを考えなければいけないと感じた。

奇しくも、久しぶりに勝ったランニング雑誌(ランニングマガジン courir (クリール))でも効率の良いマラソン練習についての記事が巻頭に書かれていた。レースペースでの練習ばかりでは意味がないことを次のようにわかりやすく書いている。
レースでは、練習では発揮したことがない力を出すことができるのです。そのように仕上げていくのがマラソントレーニングです。練習の組み立てにはこのようなマラソンの基本がわかっていることも大切です。
ランニングマガジン courir (クリール) 2013年 02月号 [雑誌]
ランニングマガジン courir (クリール) 2013年 02月号 [雑誌]

のんべんだらりと走るだけでなく(それも気持良いんだけどね)、もうちょっとちゃんとメニューを考えてみよう。

2013年1月4日金曜日

サッポロ黒ラベル 大人エレベーター


日テレの箱根駅伝中継のCM枠はロングバージョンが流せるので、スポンサー各社とも力を入れている。普段あまりテレビを見ないので、スポンサーになっていた勤め先のCMもまとめて見ることができて良かった。

サッポロビールも例年(少なくともここ数年はそうだと思う)、箱根駅伝のスポンサーとなっている。今年流れたサッポロ黒ラベルの大人エレベーターというCMは、JR車内でも見ることができるので以前から知っており、過去に出た宮藤官九郎さんやリリーフランキーさんのものなどは好きだった。

今回は奥田民生さんのロングバージョンが流れていた。これがまた肩に力が入っていない感じでとても良い。彼は私と同い年。

今なら、サッポロビールのWeb(いきなり音が出るので注意)からも見ることができる。私は思わず、全部トランスクライブしてしまった。

いくつか気に入った部分を引用。多分、通常のCMでも流れていたのだと思うが。

妻夫木
大人がしてはいけないことってなんですか?

奥田
いや、ないでしょ!
大人は何してもいいんじゃない?
悪行はダメだけど。
大人は何してもいいってならないと、憧れないじゃないですか、大人に。

妻夫木
昔の自分と今の自分、どっちが好きですか?

奥田
いやー、今でしょう。

妻夫木
何故、今のほうが好きですか?

奥田
いろいろ考えてきたもの。

妻夫木
生きるっていうことは?

奥田
こんな感じ(両手を縦に広げて、ある量が与えられている様を示す)のことを、こうやれって、それぞれに言われて、それをやって過ごすっていう。

妻夫木
調子が悪い時はどう対処しますか?

奥田
なんとかしますよ。

妻夫木
大人ってなんだろうなって話を。

奥田
それこそ、お好み焼に行ってね。
まぁ、広島だったら、こうヘラで、鉄板の上から直接食べるんすよ、男は。
子どもはできないじゃん、熱いし、危ないから。
ぐらいかね?

妻夫木
夢ってなんですか?

奥田
夢もないし、予定もないんだけれども、
どうやったら明日の仕事が楽にできるかなとか。

妻夫木
好きな言葉は?

奥田
いい感じで―。とか、そういう感じですかねー。
焼き加減は? いい感じで―。

妻夫木
大人がするべきことは?

奥田
責任を持つこと。
一緒にいる人もなんとかすること。



いい感じでー ;-) 肩の力が抜けている。新年始まったばかりだけれど、楽しくいきたい。

P.S. 過去のリリーフランキーさんの大人エレベーターを見たくなったのだけれど、サッポロビールのサイトにはその欠片もない。悲しい。権利関係かしらん。