2007年8月20日月曜日

アンジェリーナ ― 佐野元春と10の短編

佐野元春を最初に聴いたのは中学生のころだったと思う。AMラジオから流れてきた「Night Life」を聴いて、今考えると失礼な話だが、「和製Bruce Springsteen」と思ったが、その魅力的な声質とおしゃれなアレンジにすぐにとりことなった。

最近は、ほとんど行くことはないが、一時はカラオケでは「Someday」や「アンジェリーナ」が私の十八番だった。

博士の愛した数式」や「妊娠カレンダー」(私はまだ読んでいない)で有名な小川洋子が、その佐野元春の10作品をモチーフとし、小品を発表している。今回、書店で平積みされていたのに気づいて買ったのだが、裏書を読むと、今年再版されたようだが、もともとは14年前に単行本として出版されていたもののようだ。

アンジェリーナ―佐野元春と10の短編 (角川文庫)
小川 洋子
4043410018


取り上げられている曲は次の10曲。
  • アンジェリーナ
  • バルセロナの夜
  • 彼女はデリケート
  • 誰かが君のドアを叩いている
  • 奇妙な日々
  • ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
  • また明日…
  • クリスマスタイム・イン・ブルー
  • ガラスのジェネレーション
  • 情けない週末
小川洋子自身も自分であとがきに書いているが、このように曲をモチーフとして小説を書くということは、本来その曲を聴いて自由なイメージを持てる可能性をつぶしてしまう可能性がある。本短編集もその可能性を否定できない。ただ、1つ1つの作品の持つ不思議な透明感のあるイメージは、想像以上に曲とマッチしている。これならば、曲に対して固定的なイメージを持たせることなく、各人が別の、もしくはこれを元にした新たな自分自身の世界を広げることができるだろう。