2008年3月9日日曜日

徳島-祖谷と“うだつ”の町並み

徳島に出張で行った。人生で初めての四国。

仕事が終わった後、徳島市内からは少し離れていたのだが、祖谷(いや)に行った。祖谷は一度行ってみたいと思っていたところ。私が源義経ファンであることは以前に本ブログへの投稿である「大原」や「鞍馬山」、「もしも義経にケータイがあったなら」にも書いているが、義経のみならず、負けた側の平家にも当然興味はある。

屋島の戦いなどで敗れた平家の落人が逃げ延びたといういわゆる落人伝説は四国や中国などの西日本に多く残されているが、ここ徳島の祖谷の平家落人伝説も有名だ。Wikipediaにも説明されているように、平国盛(平教経の初名)が安徳天皇を連れて、祖谷へ逃げたというものだ。前から名前は知っていたが、めったに四国など来ることはないのだから、この機会を逃す手はないということで行ってきた。




まず行ったのが、平家屋敷。ここは安徳天皇に使えた御典医だった堀川内記の家屋が子孫によって資料館として公開されている。



「当家の祖先である堀川内記は安徳帝の御典医として治承・養和・寿永のころ宮中に仕えたが、平家の都落ちのとき、安徳帝を供奉して屋島に逃げのびた。平家滅 亡の後、残党と共に祖谷に入山した内記は、祖谷の山野に薬草が豊富なことに驚き、深山を散策して秘薬を採取し、当地で医を開業し諸民に医療を施こすととも に、神宮も兼ねて医療も行っていたが、蜂須賀入国のときは反旗を翻がえし戦い負傷者の治療に当った。祖谷軍が敗れ堀川家も罰せられたが、後に赦されて当地 西岡名主となり、姓を西岡の地名をとり西岡内記と名し当家の初代となった。」(平家屋敷資料館の看板より)


資料館の中には、江戸から明治~昭和にいたる歴史的な展示物が置かれていて、それぞれとても興味深いが、それよりも囲炉裏や家屋そのものに日本人としての郷愁を覚えた。縁側からは山並みが見れ、快晴の空の下、しばしぼんやりとしていた。

次に向かったのが、大歩危のさらに奥にある東祖谷山村。途中で空腹を覚えたので、祖谷美人というところで食事。道路からは良くわからなかったのだが、ここは食事だけでなく、宿泊もできる宿で、楽天トラベルで中国・四国地方でのレジャー部門アワードをとっていたり、じゃらんでも人気だったりするらしい。



テラスがあったので、外で食事をとったが素晴らしい眺め。蕎麦や魚も非常に美味しい(食事などの写真は私のVOXのブログへ)。




祖谷美人から車で少し行くと、日本三大秘境のひとつと言われる東祖谷山村の中心部(?)に入ってくる。ますます山や川が神秘的になる。ちなみに、三大秘境の残りの2つは岐阜県白川郷と宮崎県椎葉村だそうだ。








まずは「かずら橋」に到着する。Wikipediaによると、「サルナシ(しらくちかずら)などの葛類を使って架けられた原始的な吊り橋」だそうで、要するに足元がおっかない祖谷川の上にかけられた原始的な吊り橋だ。公徳島県三好市のサイトによると、「シラクチカズラ(重さ約5トン)で作られたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m。」だそうだ。私は高いところは大好きなので、特にどこをつかむこともなくスイスイと渡っていったが、同僚2名のうち1名は脱落(途中で引き返した)、もう1名は最初勇ましかったのはどこへ行ったのか、横の柵(なんていうんだろう。横にある手でつかめるところ)をしっかりと掴みながら慎重に慎重に渡っていた。しばらく渡る人を見ていたが、普通にスタスタ渡る人はあまりいなかった。「XXXは高いところが好き」というが私はどこかおかしいんだろうか。

次は琵琶の滝を見る。かずら橋を渡ったところから歩いて数分の近さ。水の冷たさが印象的。




その後、しばらく祖谷川のせせらぎを聞いて過ごす。






祖谷川は水が非常にきれいで近くで見ると、透き通っていて、川底までくっきり。遠くから見ると、神秘的な藍色に見える。こんなきれいな川は初めて見た。また、石も大きいのから小さいのまでいろいろあり、どれも美しい。なんと自然の力は偉大なんだろう。

東祖谷山村から空港に向かう帰りに寄ったのが、「うだつの町並み」。古い町並みを保存している一画で、まるで映画のセットに入ったかのよう。東京の小金井公園にも江戸東京たてもの園というのがあるが、この「うだつ」は実際にまだ人が住んでいる建物も多くあるのが違いだ。








あと、オデオン座という劇場がある。山田洋次監督の「虹をつかむ男」の中でも使われているらしい。もう美馬市のサイトによると、閉館になっているらしいのだけれど、内部は見学できるようだ(私はしなかった)。また、今でも出し物はやっているみたいにみえた。



ちなみに、「うだつのあがらない」の語源にもなっている、この「うだつ」であるが、もともとは建築用語らしい(Wikipediaにも書かれている)。

このように、半日くらいかけて祖谷の辺りを中心に徳島を見てみたのだが、途中寄ったうだつの町並みにある喫茶店のガイドを見てみたら、まだまだ徳島には行ってみたいところがたくさんあることがわかった。特に、義経ファンの私としては、屋島の戦いの関連史跡がある小松市のほうに行かないわけにはいかないだろう。いつか行ってみたいと思う。それよりも、これだけ魅力的な観光資源があるわりに、徳島はなんとなくマイナーなイメージもある。もう少し宣伝方法を考えれば、観光客ももっと多くなるのではないだろうか。正直、阿波踊り以外は今回来るまであまり知らなかった。もっとも、観光客が多くなると、あのきれいな祖谷川の水がそのままでいられるか不安でもあるので、ちょっと矛盾した気持ちではあるのだが。

徳島-祖谷 と うだつ