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時間が2時間くらいしかなかったので、どこに行こうかと公園内でしばし考えたが、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館が近いようなので行ってみた。
ガイドブックなどを見たわけではなく、空港に置かれていた地図だけで来たので、最初入館料がいくらかわからずに悩んだのだが、聞いてみると、常設展示はすべて無料とのこと。特別展によっては有料のものがあるらしい(当日も1つ有料の展示があった)。ワシントンDCのNational Gallery of Art(国立絵画館)ように、なんて太っ腹かと感動。
地図を入り口で貰ったのだが、中が良くわからずにうろうろと地下1階に下りてみたりしていたら、誰もいないエリアに、いきなり三島由紀夫のビデオが流れていてびっくりした。 最後には自決となる自衛隊クーデーター未遂のときの演説のようだが、こんなにクリアな映像のものは初めて見た。 下に出ている英語の字幕が展示室の中でさらに異彩を放つ。誰も見ていないというのが当時を彷彿とさせるといのは言いすぎか。 |
ふと隣にある展示ケースを見ると、Eikoh Hosoeというアーティストの作品であると書かれている。細江英公という写真家の「烈火の季節」という作品のようだ。
展示ケースの中にはほかにも細江英公の手がけた三島由紀夫にまつわる作品が展示されていた。異国の地でまさか三島に会うとは思わなかったので、しばし呆然とした。
ピカソの"Nude in a Rocking Chair"も展示されていたりしたが、ニューヨークの近代美術館(MoMA)やメトロポリタン美術館、ワシントンDCのNational Gallery of Art(国立絵画館)などと比べると、いわゆる大家の作品は多くない。全体の作品数も少ない。1時間から2時間もあれば十分見て回れるだろう。
展示されていた中で私が気に入ったのが、オーストラリアの写真家のビルヘンソン(Bill Henson)の作品。
写真ではなかなか伝わりにくいかもしれないが、背徳で不安定(不穏)な雰囲気を持った作品。見ていて心地よいわけではないのだが、心をかき乱すものがある。ちなみに調べてみると、私の好きなニーモシネという名前を持った作品集が発売されているようだ。なんという偶然。
Bill Henson, Mnemosyne
また、John Youngという同じくオーストラリアの画家の作品(Hermit Painting #3)も気に入った。デジタル加工された写真(だと思う。説明にもそう書かれていた)や中国画法を大胆に取り入れた作品はエロティックであり、スピリチャルだ。プロフィールを見ると、香港から移住してきたらしい。
たとえば、下の写真にある水が滴る写真の部分の持つ自然の持つ美しさが2箇所にある女性の裸体と共に全体のセクシャルなイメージを増幅させた。最初見たときから、東洋人の作品かと思ったのだが、あながちその感覚も間違ってはいなかったようだ。
ほかにも19世紀の作品などが展示されている。広い館内でゆっくりと見れるのは米国で見たほかの美術館などと同じ。