2008年3月8日土曜日

氷点

氷点 (〔正〕 上) (角川文庫 (5025))

借りていた「氷点(上)」と「氷点(下)」をやっと読んだ。以前、「塩狩峠」を読んだときに、三浦綾子のほかの作品を読んでみようと思って、借りていたのだが、ついつい積読状態になってしまっていた。積読状態の書籍の中から今週あえて読んでみようと思ったのは、最近の日経新聞に出ていた新聞連載小説についての解説がきっかけ。まったくの新人であった三浦綾子がこの作品で朝日新聞の懸賞小説で入選し、次の年から朝日新聞で連載され、瞬く間に人気作品になっていったことが書かれていた。そこにはさらにこの悲劇の主人公の心模様を描く手法が後の山口百恵などによる赤いシリーズに影響を与えたと書かれていた。

本書を読む前は「塩狩峠」が宗教的な色彩が強かったので、同じような作品かとはじめ思っていた。確かに、キリスト教の影響は感じられるが、それよりも日経新聞の解説にあったように、赤いシリーズ的な「これでもか」というようなドラマチックな展開が特徴に思える小説だ。設定そもそもがドラマチックであり、継母のいじめがエキサイトしていく部分ではついつい主人公に感情移入してしまう。ただ、どんな状況でも純粋に生きる主人公(陽子)の示す感謝の気持ちと彼女を悩ませる生きることについてまわる罪などは単純な大衆小説だけではない「人が生きる」ということを感じさせる。

ということで、今は「氷点(続)」を読んでいる。本作の最後を読んだ時点で次回作(続編)があることがみえみえなところなどはテレビドラマ的。

氷点 DVD-BOX