2007年1月21日日曜日

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る

昨年秋の転職では、間を空けずに今の会社に勤めることになったが、もし今の会社に決まらなければ、しばらく無職になる可能性があった。

前の会社では、私より数年前に入った人たちの中にストックオプション長者になったものも多かったが、わずか数年の差でも私にはそんなチャンスは巡って来ず、リタイアはもとより、しばらくの休暇なども考えることができなかった(生活費を稼がなきゃいけないからさ)。

そんなこんなで、今回の転職活動中、無職になることの恐怖をわずかながら感じた。

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る
門倉 貴史
4796655336


「働けど、働けど、わが暮らし…」と詠ったのは石川啄木だが、まさに当時の啄木と同じような状況におかれている人が日本にも数多くおり、今もまた増えているという現状。本人に特別な理由がある場合ばかりではなく、誰でもちょっとしたきっかけでワーキングプアに成りうる。このようなことが本書を読むと良くわかる。

ドキュメントという形で、実際にワーキングプアと分類されうる人々への状況が紹介されるが、そのどれもが特殊なケースではない。つい過去や今の自分と重ね合わせてみてしまう。「もしもあの時…」と考えると、正直ぞっとする。

私は今でも競争社会は正しいと思う。また、その競争社会から得るもののほうが今の私は多い。しかし、安倍首相の再チャレンジではないが、競争社会は正しい雇用システムと競争ルールが整備されてこそ成り立つ。一度、通常のパスから外れてしまっただけで、二度と戻れない社会というのは何かおかしい。

今まで、ワーキングプアについて、話には聞くが、身近な問題としては捉えていなかった。しかし、本書を読んで、自分自身のキャリアパスや個人的な安全保障問題 ;-) としても改めて考えさせられた。

ところで、本書には出てこないが、昨年NHKでワーキングプアの特集が2度ほど組まれていたようだ。見てみたかった。

参考