新書365冊
宮崎 哲弥
本書は雑誌「諸君」での2つの連載を元にしたもの。その1つの「解体『新書』」は新書を毎月1冊紹介するという普通の書評だったようだが、その後を継いだ「『今月の新書』完全読破」の方はその月の20日までに発売された新書を完全読破するという常人では実現できない企画だったようだ。私は残念ながら、「諸君」で連載されていたものは目にしていないが、こうしてそれをまとめた新書を読むだけでも、宮崎氏の常人離れした読書量と分析力を垣間見ることはできる。
宮崎氏によって読破された新書は“Best”、“Better”、“Worst”、そして“More”と分類されている。これは「はじめに」によると、連載時に行った次の評価基準をそのまま継承しているという。
ベスト新書を一冊、ベター新書を五冊、ワースト新書を一冊選んでレビュー、加えて目にとまった新書を「要注目!さらに5冊」として、寸評とともに末尾に紹介した。新書は手にとって読んでみて、はじめて自分の興味に合うものかどうかわかるが、Amazonなどのネット書店で購入することの多い私にとっては、カスマターレビューやブログなどでの評判が唯一の判断基準であった。また、リアル書店で手に取ったとしても、その中身については立ち読み程度ではわからない。その点、一個人とは言え、宮崎氏という現代の論客により、通読された後の評価が一覧できるのはありがたい。もちろん、盲目的にすべて信じるのではなく、あくまでも参考意見とすべきであろうが。
惜しむらくは、(当たり前のことであるが、)ごく最近の新書については触れられていないことと、編集の都合でカットされたと思う書評が散見されたことである。
早速、この中で紹介されていた新書を数冊読んでみたくなった。
ところで、宮崎氏は昨年くらいからテレビなどでの露出が多くなったようである。ワイドショーやバラエティ番組などでも拝見する。いったいどのようにして読書時間を確保しているのであろうか。そちらも気になる。