映画はPEACE BEDとチャプター27を観たのだが、PEACE BEDではジョンの活動家としての一面を詳しく知ることができた。
映画を観てパンフレットを買うことは珍しくないのだが、この映画ではパンフレットだけでなく、ロッキングオン発行のCutまで買ってしまった。表紙を見てもわかるように、特集は「ジョンは何と闘ったのか」。ピーターバラカン氏と渋谷陽一氏の対談や監督のジョンシャインフィルド氏のインタビューなどが掲載されている。
ジョンシェインフィルド氏のインタビューからは、この映画の素材の多くがオノヨーコにより極めて計画的に集められていたことがわかる。
これだけの素材が残っている理由は主にふたつあるんだ。ひとつは、'60年代にビートルズよりもビッグなバンドはいなかってこと。ジョンは世界で一番有名な人物で、みんな彼が何をしているか知りたがったし、彼が何を考えているのか知りたかったんだ。もちろんパパラッチなんていなかったから、この素材を見るだけでも、いかに彼が重要な存在だったかを物語ってると思う。ふたつめは、ヨーコのおかげで、彼女は自分たちがやっていることがいかに重要なのかわかっていたから、特に'60年代、'70年代にカメラマンを雇ってすべてを記録させていたんだ。だから、映画で使ったNYタイムズの記者とやりあってる場面とか、あの記者の態度は当時のメディアが彼らの活動にいかに疑いを持っていたのかを的確に表していたと思うけど、小さくてもああいう大事なシーンはカメラが毎日追いかけてなかったら観ることはできなかった。正直に言うと、私が学生(中学/高校)のころ、オノヨーコというのは前衛的でジョンの親しみやすいポップな面を阻害する変な女性というイメージしかなかった。殺害する直前のアルバムであるダブルファンタジーでもオノヨーコの曲は私にはよくわからなく、テープにダビングする際にはスキップしたりもした。このPEACE BEDやその後の発言などを見て、ジョンが愛した理由もわかってきた気がする。いまだに音楽面については正直あまり好きになれないが。
そういえば、ダブルファンタジーのジャケット写真は篠山紀信氏撮影なのだが、アルバム発売後に当時発売されていた写真誌「写楽」にジョンのインタビューと小冊子で簡単な写真集がついていた。私は友人から安く購入したのだが、いまだに私の宝物として保管してある。
今回改めて中を見てみると、良い感じに肩の力の抜けたジョンの姿を見つけることができる。
当時は、活動停止になる前とのギャップにがっかりするファンも多かったように記憶しているが、「もし生きていたら」と今なら考えたくなる。
最後にPEACE BEDのオフィシャルサイトやパンフレットに書かれていたメッセージを載せておく。
もし変えようと思うなら。
本当に変えようと思うなら。
世界は変えられる。