午前中に新宿に行く用事があったので、包帯クラブを観てきた。
朝一番(10:10スタート)の上映だったためか、館内はガラガラ。もっと人気があるかと思っていたのに、少し肩透かしを食らう。
小説やコミックも出ているそうなのだが、それらは読んでいない。したがって、まったくストーリーを知らないまま観たのだが、とても良かった。
おそらく主人公たちと同年齢の連中が観るとまた違った感想を持つのかもしれないが、年齢に関係なく楽しめる映画なのではないか。
主人公二人のコミカルな会話。やり場に困るほどの莫大なエネルギー、そして決して明るいばかりではない未来。コミカルでリズミカルな会話の中に、このような重いテーマが込められている。
「行動しないと変わらない」
「他人の痛みが分かりたい」
このようなことは必ずしも若い連中だけが思っていることではないだろう。「包帯」という普通なら「痛み」のメタファーとして利用されるであろうオブジェを「癒し」のオブジェとする。不思議なことに、最初は痛々しく見えていた包帯をそのうちに愛おしく感じてきてしまう。登場人物それぞれが抱えている心の痛み(トラウマという言葉はあえて使いたくない)が他人のそれを癒す中で、解決されていく様は引き込まれる。歳をとって涙もろくなっているためかもしれないが、人目をはばからず何度も泣いてしまった。その意味では、館内が閑散としていたのに感謝しないといけないのかもしれない。
ちなみに、主役の石原さとみは、以前のNHKの大河ドラマ「義経」で静御前の役をやったときには、抑揚の無い台詞回しに正直ちょっと辟易とすることもあったのだが、この役ははまり役だ。