何度か書いているが、私はB級な超常現象本や心霊怪奇現象本など、いわゆる「トンデモ」系の本が好きだ。子供のころもスペシャル番組などで特集されると、欠かさず見ていたものだ。最近では、UFOものは信憑性が疑われるような情報や手に垢のついたようなふるい情報しか入ってこないためなのか、ギャグに徹してしまっているようで、残念だ。一方、心霊ものはいまだに現役だ。
伝染る(うつる)「怖い話」 (宝島社文庫)
この本では、心霊現象などを含む都市伝説の背景が解説されている。複数の執筆者によって書かれているため、正直玉石混合の感はある。特に、第2章の「101匹目の幽霊」は単なる心霊現象の解説になっているところが多く見受けられた。心霊現象を紹介するのが目的ではなく、その背景を探るのが本書の目的であろうから、ここでの脱線は正直残念だ。と言いつつも、出張中、時差ぼけで眠れなかったため、インターネットで心霊/怪奇スポット情報などを夜中に読みまくっていたのは、第2章に刺激を受けたためだったりするが。
第3章にある「インターネット電脳怪異譚」というセクションは山形浩生氏の執筆だが、ここは考えさせられるものがある。最初はインターネットというサイバーワールドにおいての怪奇話が紹介されているが、最後に書かれている電脳空間における「不滅」の考えは興味を持った。インターネットにおいては、本人が死んでしまっても、電子メールアドレスが残っていることによって、そのアドレスにメールは送ることができる。Webサーバー(今ならばブログか)もそのまま保持することが可能だ。このような状況だと、リアルワールドで死を迎えても、サイバーワールドでは永遠の命を持つことも可能かもしれない。
氏はここまでは述べていないが、ブログやメールなどを元に、個人の発言の癖などをプログラムが学習することは可能だろうし、そのうち発言の元となった思考方法そのものも学習することができるかもしれない。たとえば、どのようなWebを良く見ているか、どのような検索を行っているか、それによってどのような結論を出し、それをどのような人に向けて発信したか-これらの情報を学習するようなサービスをどこかが出したとしたら、本人が死んだ後も、ブログは更新され続けるかもしれないし、メールにリプライできるかもしれない。
そんなことを氏のセクションを元に考えてみた。
それが素敵なことかどうか私にはまだ判断できない。ただ、怪しい霊媒師に頼るくらいならば、本人の行動を元にしたプログラムに相談するほうがましだろう。