2007年9月4日火曜日

セックスボランティア

これも以前から書店で見かけていた本。だいぶ前にすでに文庫化されている。今回、やっと読んでみた。

今までタブー視されていた障害者の性について扱ったドキュメンタリーであり、障害者の性の日本の現状とそれを打破しようと試行錯誤する人たち、そしてオランダの現状などが語られている。

多くの人はこれを「障害者の」というコンテキストで読むと思うし、それは正しいと思うのだが、私はこれが障害者の方だけのものとは思えなかった。性と生の問題、障害者の方のほうが課題は多いかもしれないが、この書籍で語られていることは、実は非障害者にも共通したものが多いのではないだろうか。愛と性の関係など、実は共通の問題が、障害者という母体において顕在化したに過ぎないように思われる。

セックスボランティア (新潮文庫)
河合 香織
4101297517


また、純愛と呼んでも良いであろう竹田さんとみどりさんのエピソード(遠く離れ、手紙でしか愛を確認できない中、最後にはみどりさんが亡くなってしまう)には考えさせられるものがあった。一般人でもこのような状況におかれ、愛し合っていていても結婚できない、会うことも出来ないということはありえると思うが、障害者という条件が状況を過酷にしている。愛というものの素晴らしさを再確認させられるとともに、安直な感想になってしまうが、二人を救えなかった社会が残念でならない。