確かに私も少し前までは、年齢を重ねることが苦痛だった。残りが少なくなった夏休みを過ごす小学生のような気分だし、実際悲しいかな肉体的な衰えも認めざるを得ない。「時の流れは時として残酷で」と久しぶりに会った友人にはふざけて言うことも多い。
考えが変わったのは、3~4年くらい前のこと。
敬愛するギターリストのチャー(竹中尚人)がFMの生番組でインタビューを受けていたのを偶然聞いたのだが、その中でインタビュアーに「若いミュージシャンと協演することも多いが、年齢によるハンディを感じることはないか」とい聞かれて、「いや、全然ないね。毎年毎年新しい発見があって、確実にうまくなるのが楽しくてしょうがない」と答えたのを聞いてからだ。
若い連中に絶対に敵わないところはあるだろうが、人間死ぬまで進歩できるところも多い。進化を止めたら、そこが終着点なのだろう。
そんなことを思っていたら、自分が書いた古い日記に次のような記述を見つけた。
風呂上りに冷えたビールを呑みながら、庄司薫の本と一緒に梱包してあった「新人類図鑑」を読む。筑紫哲也が編集長の時代に朝日ジャーナルで80年代の新人類(死語だ)と対談したのをまとめたやつだ。そうそう、これと「若者たちの神々」が好きだった。当時は朝日ジャーナルを毎週買って、バックナンバーもすべてストックしておいたんだっけ。「新人類図鑑 Part2」に西和彦が出ている。「30代、40代、50代と過去を否定して生きていきたい。常にヒットを打ち続けたい」と言っている。今読むと感慨深い。連続ヒットは途中で止まったけど、過去の否定はし続けているんじゃないだろうか。
西和彦氏の今については良く知らないが、この言葉は今でも名言じゃないかと思う。
「30代、40代、50代と過去を否定して生きていきたい。常にヒットを打ち続けたい」そういえば、私の好きな吉田美奈子の歌にも、「昨日より今日を愛している」というようなフレーズがあった。
昨日より今日、今日より明日、そして来年。時の流れを愛おしみ、自分の弛まぬ成長を信じんて年齢を重ねるなんて素敵じゃないだろうか。そう思えるようになった自分がいる。お前も歳をとったなと言われれば、そのとおりかもしれないが。
誕生日おめでとう。