2007年7月25日水曜日

会社を辞めるのは怖くない

古くからの友人、横山哲也氏のところでも紹介されている1冊。そのときにすぐに読んでいたのだが、ここに書くのがちょっと遅くなってしまった。

会社を辞めるのは怖くない
江上 剛
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このブログでも何回か書いていると思うが、私は会社との関係は契約だと考えているので、会社を辞めることを厭わない。もちろん、仕事に対する情熱は人一倍あるし、仕事を通じての社会貢献や自己実現というものも大事だと思う。ただし、会社がいつの間にか自分の識別子(ID)のすべてとなってしまうのはその人間にとって不幸だ。会社へのロイヤリティ(忠誠)というのは自分への足かせになってしまうこともあるので、注意が必要だ。

この本に書いてあることはいつも自分の考えていることなので、なるほどなるほどという感じ。

「恨みは捨てて潔く飛び立とう」と「郷に入っては郷に従え」は特に参考になる。

 不満や恨みを残しながら辞めると、過去に引きずられてしまう。こうなると、さっそうと前に進んでいけなくなる。残念ながら、退職後、多くの人が吹っ切れなくて、自縄自縛に陥っています。遺恨を残して死ぬと、この世に化けて出るようになる。成仏できないのではないでしょうか。
 次のキャリアを求めなければならない時、最も必要とするものは、自分が歩んできたサラリーマン生活に対しての自信なのです。僕自身、そういう心構えを持って辞めましたし、現在もそう思っています。

前の会社にまったく不満が無ければ、辞めていないのだから、ついつい前の職場の不満が出てしまう。極力それは言わないつもりの私でもたまに出てしまうことがある。気をつけなければ。

 逆に高い地位にいた人でも頭の切り替えができないと、次の職場に行っても「オレの部下は何人いるんだ」「なんだ、ここは。無礼なことばかり言って」とブツブツ言っている。気持ちの決着がついていない。そんな人には誰も近づきません。いい再就職先とも出会えないわけです。

新しい職場が前の職場よりも優れているとは限らない。新しい職場のカルチャーやルールがおかしいことも多いだろう。だが、それをいきなり否定するのではなく、まずはそこに身をおいて、新しいやり方を学んでみること。そこから見つかる何かがあるだろう。ただし、新しい職場が間違っていることもあるので、染まってしまってはダメだ。だが、前の職場の意識を一度捨てて、透明な気持ちで接してみてはどうだろう。まずはインナーサークルに飛び込んでみよう。

私は自分で言うのもなんだが、環境順応性が結構高い。それが必ずしも常に良いことばかりではないのだが、こと転職という点においてはプラスに作用しているようだ。ただし、どのような環境においても、自分を見失わないようにすることは心がけている。

ところで、横山氏は次のように書いている。

IT業界は、長時間労働で悪名が高くなったため、日米ともに人気急下降中です。
労働環境を改善するには「自分の知的能力を磨け(プチブルになれ)」と前にWindows Server Worldのコラムで書いたみたんですが、それだけではだめかも。

「気に入らなければすぐ辞める」人が *大多数* にならないと事情は変わらないような気がしてきた。

別のコラムで「簡単に仕事を辞めるな」と書いたけど、今は揺らいでいます。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」で書かれているような年功序列+終身雇用により、能力があり、実績も残しているにも関わらず、疲弊した会社側のルールにより正当な評価が与えられていない場合には、「すぐ辞めて」全然かまわないと思う。

ただし、一方で横山氏の言う「簡単に仕事を辞めるな」というのも良くわかる。私の元上司が新卒のころの私には「仕事を選んじゃだめだ」と言っていたのと同じかと思う。つまらないように思えても、そこから学べることは多くある。

結局、飛び出すかどうかは、どこで見極めるかどうかであって、それは自分しか判断できないものではあるだろう。