2011年11月16日水曜日

金哲彦のマラソンレース必勝法42

金哲彦さんと言えば、ランニングのコーチとして多くの著作を出されている。私も何冊か読んだことがあるが、どれも秀逸だ。こういった実用本を多く出す人にあるように、オーバーラップする部分もあるが、それでもいつも参考になる。ついつい新しい本が出ると手にとってしまい出版社の術中に嵌っている。



このマラソンレース必勝法はフルマラソンに参加する人に向けたガイドだ。レース10日前からレース当日、そしてレース後までのTipsを42個紹介している。

正直、どれもがどこかですでに話されていることである。著者の金さんの別の著作からか、もしくは他著者の書籍や雑誌、ネット記事かもしれない。

だが、レース前にどうしてもじたばたしてしまいがちなランナー、特に初心者ランナーにとってはこのように時期に応じてやるべき事がまとめられているのはありがたい。それぞれのTipsがせいぜい4から5ページでまとまっているのも読みやすくて良い。

初級者、中級者、上級者と、Tipsがどのようなレベルのランナー向けかが示されているし、またレース当日については通過距離ごとに細かく書かれている。

少なくとも、本書を読んでおけば、大失敗することはないだろう。欲張らなければ完走は約束されていると言っても良い。

本書を通じて、特に後半で書かれているマラソンの意義。それは「自分を客観的に見つめ直す」ことであり、それを通じて「人生を豊かにする」ことである。
マラソンにおける失敗は、他人のせいではなく、すべてが自分に責任がある。そして、失敗の原因は誰よりも自分が良く知っている。その事実をあらためて認識し、理解し、受け入れ、そして改善しようと努力するスパイラルが、自分の人生を必ず高めることにつながるのである。
まさに私がランニングに嵌っている理由もこれである。著者の金さんは近年癌を克服した。それについては「走る意味―命を救うランニング」に書かれている。こちらもお勧め。そのような経験をされた金さんだからこそ、この言葉は重い。

以前書いたブログポストもあわせてどうぞ。