というわけで、主に自分への記録用に今年(一部は昨年後半)に読んだ本のリストを掲載しておく。
- 時速1000字で書く技術
図書館で借りてきた。文書を速く大量に書きたいという欲望は昔からある。少しでも役立てばと思ったのが借りた動機。いわゆる名分を書くということを目的としたものではなく、必要に迫られて書くときの戦略と戦術が解説されている。まず、具体的に定量ベースのゴールをたてる。それが「1時間」で「1000文字」というものだ。それぞれの理由も明確に示される。スピードアップには 1) それに関わる行為そのものを素早くする方法 と 2) プロセスを効率化する方法 に分類出来るが、ここでは後者に焦点があてられる。結果としてはすでに実践しているようなことがほとんどであったが、それらを思い出すことも出来たし、読みやすい。忘れないようにしないと。 - 英語学習7つの誤解 (生活人新書)
これも図書館で借りた本。今年初めに読んだ「外国語学習の科学」と内容は重なる。ただ、本書の第13話にはある「達人たちの英語学習法に学ぶ」がある。これを読んでみると、達人の中には科学的には必ずしも勧められない方法であっても英語を習得出来ている人もおり、結局は努力こそが習得の鍵であるという、何か科学的に正しい効率の良い=楽な方法を探していた私などには残念な結果が示されることになる。 - 私は真犯人を知っている―未解決事件30 (文春文庫)
こういう未解決事件解説本というのが結構好きで、書店で見つけると大概購入してしまっている。ゴシップ的に犯罪を解説するという悪趣味な感じが行き過ぎると辟易としてしまうが、風化させないために発生当時と同じもしくはそれよりも情報を精査した形での報道というのは必要であろう。この本では犯罪だけでなく、社会を揺るがしたニュースも取り上げられている。面白かったのが「[影武者]降板 天才勝新と天皇黒澤の知られざる激突」と「桑田と清原 親友同士を引き裂いたKKドラフトの『仕掛け人』」の2つだ。「影武者」の際の勝新と黒澤監督の対立は知っていたが、勝新が現場では黒澤監督を完全に食っていたというのは知らなかった。これが原因の1つとなり勝新が表舞台から消えていくというのが事実ならば、残念でならない。桑田と清原の件は私が早稲田大学に在籍中だったということもあり、強く記憶に残っている。密約はあったんだろうなと思うし、ドラフトなんてそんなもんだと思うので、それに対しての怒りも別にない。ただ、知らなかったのは「桑田の一件でPLの野球部の後輩は早稲田どころか六大学にも入れなくなった」(清原)という事実だ。引退後の桑田はその野球道に打ち込むような姿勢から評価する声が多く、私も一目置いていたが、彼と巨人軍が行ったことの罪深さを改めて感じさせられた。 - 福島 原発と人びと (岩波新書)
ずっと原発問題を追っているフォトジャーナリスト広河隆一さんの著作。新書だが、写真をふんだんに取り入れている。タイトルにあるように、福島原発事故の影響を受けている人々の声を取り上げる。放射線の身体への影響については正直どこまで深刻かは私にはわからない。わかっているのは、想像よりも深刻でありそうなこと、たとえ科学的に身体への影響が無かったとしても、人々の精神を攻撃し、神経をすり減らし、人間関係を破壊し、その結果として精神的にも肉体的にもダメージを与えることだ。この中で語られる人々の、特に子供たちの声が痛々しい。 - 原発のウソ (扶桑社新書)
311以降、積極的に情報発信を行う小出裕章氏の著作。「不屈の研究者」と帯にあるが、まさにそのとおりであろう。311以降に政府や東電の言っていた「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」はもはやブラックジョークとして扱われるようになっているが、パニックを避けるための表現としてはあの時点であのように言わざるを得なかった背景は理解出来る。日経BPのサイトで「正しく怖がる」と放射線のことを解説していたが、まさに必要なのはパニックを起こすでもなく、放射線と生き続けるざるを得ない環境を選択した今(東)日本に残っている住民が生き続けるための知識であり、データであり、知恵である。小出氏はそのための知識を授けてくれる。それにしても、このような怪物マシンをなんでまだそのままで動かそうとするのか。次に何か起こったら国家消滅の危機だということをわかっているんだろうか。 - 早稲田実業 躍進の秘密 (朝日新書)
母校愛。大学に対してはあんまり思い入れが無いのだけれど、中高と過ごした早稲田実業(早実)に対する思い入れはすごい。高校野球予選は時間さえあえば観に行く。最近作られたFacebook上の同窓メンバーのグループで同期の連中の状況は気になってチェックするし。鶴巻町から国分寺に移り、商業科がなくなり、小学部が出来、男女共学になり、早大への推薦率があがり、入学の難易度はあがり、もう昔とは違ってしまったと思うところも多いけれど、野球の応援などを見ていると、あー変わらないなと思う。学校のことならだいたい知っていると思っていたのだけれど、歴史などはそうでもなかった。竹久夢二が卒業生だとはまったく知らなかった。なんと。 - キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
著者の佐々木俊尚さんから献本いただいたもの。ありがとうございます。
ソーシャルサービスの台頭によって、キュレーションの重要性が認識されている。これは日々、TwitterやFacebookなどで情報洪水とも言える中、この人の発言は特に気をつけて追っておこうなどと考える人が多いことからも容易に想像出来る。この書籍は震災前に発売されたものであるが、震災関係の情報においてもキュレーションが威力を発揮した。大本営発表たる政府や公的機関などの発表を信頼出来なくなり、かと言ってデマゴークにあふれる発言の1つ1つにパニックになっても仕方ない。
震災でもその重要性が高く認識されたキュレーションであるが、キュレーターをキュレーションしてくれるキュレーターが必要になるような事態が訪れるのかもしれない。とか思ったり。いつもながら豊富な事例と文化に結びつける読み物としても面白い切り口に感心。 - 生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ (アスキー新書)
こちらも献本いただいたもの。一年近くも前なのにお礼していなくてすみません。おまけに今読み直したら結構内容を忘れていることに気づいた。もう一度読まなければ。電子書籍や動画配信などについて関係者のインタビューを含めて体系的にまとめたもので、知っていると思っていることでも参考になる部分が多かった。動きが速いので、今となっては古くなった部分もあるが、それでも貴重な一冊かと。 - 正しく知る放射能 (学研ムック)
ガイガーカウンターの勉強をしようと思ったときに、そもそも放射能についてもきちんと理解していないと思って購入した一冊。図や写真が豊富で、さすが学研という感じであるが、これを読んだからと言って理解出来るとは限らない。前提となる知識がないと理解が難しい部分がある。また、一度読んでも覚えられない部分もある。むしろ、わからない用語が出たときなどに参考にすると良いのではないかと思う。福島などの地域でも身体への影響は現時点では限定的であるという立場に立つ本なので、それはそのように理解して読むべき。 - 日本の「未解決事件」100 (別冊宝島) (別冊宝島 1733 ノンフィクション)
これだけ同種の書籍を読んでいると、ほとんど内容はわかっているのだが、未解決事件マニアとしてはもしかしたら新情報でもと思い、ついついまた買ってしまう。他に読むものが無いときとか、ちょっとした時間つぶしには、何度読んでも良いんだよね。
疲れたので、このくらい。続きは1冊ごとか、またリストにして残りを。