ちょっと前になるが、吉田美奈子氏と渡辺香津美氏という至宝のデュオを聴いてきた。1月20日、場所はミッドタウンにあるビルボードライブ東京。
吉田美奈子氏は中学のころから聴いてはいたが、ファンになったのはここ15年ほど。彼女を知らない人に、ジャンルを説明するのは昔から難しかったが、今回のアルバム、NOWADAYSでさらに難しくなった。
このアルバムでは、これまた日本を代表するジャズギターリスト渡辺香津美氏と2人でビートルズ、デュークエリントン、ドアーズなどのクラッシックを歌い上げる。ジャンルで言えば、ジャズになるのだろうが、それぞれすでに独自の世界を作り上げている2人のため、ただのジャズのフレーバーをふりかけただけの演奏にはならない。ディストーションを効かせたギターに負けずと絡む吉田美奈子氏のボーカルは圧巻だ。
詳しくはNOWADAYSの特集サイトをご覧あれ。このサイトの作りも半端じゃない。収録曲の試聴が出来るし、楽曲解説はあるし、使っているギターの解説まである。作り手の思いがここまで込められているサイトというのも珍しいのではないだろうか。
今回のライブは、ベテランの2人だからこそ、肩に力の入らない、本当に楽しめるものだった。演奏の合間に入るトークも人柄を感じさせる。
曲はすべて素晴らしかったが、ジョニミッチェルのBoth Sides Now、ドアーズのLight My Fireなどが特に胸に沁みた。
実は、途中から、ずっとLibertyを演奏してくれないかなと思っていたのだが、アンコールでそれはやってきた。客の拍手に応える形で、2人はすたすたとステージに上がり、アンコール演奏を始めた。舞台後ろの幕が開き、夜景が広がるのと同時に、流れてきたのがLibertyだった。うかつにも涙が出そうになった。本当に名曲だ。
魂を抜けとられたようになったまま、店を後にしようと思ったとき、カジュアルエリアにハモンドオルガン奏者の河合代介氏がいるのを見つけた。以前、モーションブルー横浜で、これまた吉田美奈子氏とのデュオを見たことがあるので、間違いじゃないと思う。
今度は3人でやってくれたりしないだろうか。