成長著しい新興企業なども、非常識と言われることが多くある。そのような企業も非常識でなくなった時点で成長が止まることもあり、いかに常識というものの上に胡座をかき続けてはいけないかがわかる。
非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヵ月で3時間13分! (ソフトバンク新書)
マラソンにおいても、同じように常識と言われるトレーニング法に疑問を投げかけているトレーナーがいる。それが、この「非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヵ月で3時間13分!」の著者の岩本能史氏だ。
岩本氏がほかの指導者と異なるのは、陸上経験が無い人にとってベストの結果を出すためにはどうしたら良いかを考え、そして試し、試行錯誤を重ねて、方法を生み出しているところにある。
従来の指導者は自らがトップアスリートであり、学生時代から陸上を続けてきているような人がほとんどだ。現在も大学や実業団などで指導していたりすることもある。
しかし、そのようなトップアスリートもしくはその候補と、一般の市民ランナーとでは、筋力から練習量から異なる。
岩本氏は一般の市民ランナーにとっての方法を生み出した。それは従来の指導法からすると、「非常識」と言われるようなものだ。
非常識でありながら、岩本氏の方法はすでに実証されている。自らで試し、配偶者で試し、そして氏が率いるランニングクラブで試されている。私の好きな「仮説と実証」の成果としての「非常識メソッド」である。
具体的にどのようなものかは書籍を読んで欲しいのだが、いくつか代表的なものを以下にあげよう。
- 初心者でもシューズは薄底(薄いインソール)を履く
- ランニング後にストレッチはしない
- レース前日のカーボローディングは不要
- レース当日はスタートの1時間前まで食べ続ける
- レース当日のウォーミングアップは不要
この他にもいろいろとあるのだが、どれも従来から言われているものとは大きく異なる。だが、どれも理由があり、説得力がある。
たとえば、レース当日の食事だが、従来はだいたいレース開始の3時間か4時間前までに食事は終えて、胃や消化器官の負担を少なくすることが良いとされていた。だが、それはフルマラソンを3時間以内で走り切るようなランナーへのアドバイスだ。4時間以上かかる人にとっては、もしスタート3時間前が最後の食事だとしたら、7時間以上も栄養が補給されないことになる。
岩本氏は「マラソンは食べるスポーツだ」と言う。当日起きてから、何をどのタイミングで食べるべきか。さらには、スタートとした後の細かい栄養補給までも示される。
私は昨シーズン最後となる4月の長野マラソンで、氏の書籍に書かれている通りのペース配分と栄養補給を行ってみた。少し前半を飛ばし過ぎてしまったのだが、それでもぎりぎりペースを維持することができ、さらには適切に補給を行うことができたため、ハンガーノックも避けることができた。結果、ぎりぎりではあったが、目標としていた、ネットでのサブ4(4時間以内での完走)を実現することができた。
当日、私が用意したメモはこれだ。これとペース配分を書いたものを表裏の両面印刷で用意して、それを見ながら走った。
岩本氏の書籍に出会ったのが今年の始めと遅かったので、練習方法などについては取り入れてから少ししか経っていない。今秋からまたレースに出ることになると思うが、そのときが楽しみだ。書籍を読んでいると、サブ3.5でさえ可能ではないかと思ってくる。
岩本氏の書籍は4冊あるようだが、そのうちの3冊を私は読んだ(実は2冊は共通の知人経由で頂いた。ありがとうございます)。
そのうちの1冊が上に紹介した「非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヵ月で3時間13分!」であるが、もう1つ「非常識」とタイトルに入るのが、「非常識マラソンマネジメント レース直前24時間で30分速くなる!」だ。こちらは、上に述べたようなレース前日と当日の心得が書いてある。具体的にどのようなものを補給するのが良いかが詳しく書かれている。また、ホノルルマラソンや東京マラソンの走り方も書かれている。
もう1冊が「フルマラソンがもう一度速くなる30のスイッチ」だ。これはほかの2冊と内容的に重なるところが多いが、大きめの装丁で、図解などはこちらのほうが豊富だ。配偶者である岩本里奈さんがフルマラソンのタイムを5時間51分から3時間17分まで縮めた軌跡も含まれている。どれか1冊と言ったら、すべてが網羅されているので、この1冊になるのかと思うが、「非常識マラソンマネジメント レース直前24時間で30分速くなる!」に書かれている、レース当日にどの地点で何を補給すれば良いかの具体的なアドバイスも捨てがたい。お金があったら、全部買っちゃうのがお勧めだ ;-)
あとは練習あるのみ。頑張ろう。
参考記事:
ランニングのすゝめ