2012年11月6日火曜日

フェイスブックが危ない

私はFacebookは2007年から使っているが、今のように頻繁にアクセスするようになったのは、ここ3年くらいだ。その3年間の間だけでもFacebookは大きく変わった。

タイムラインの導入などは顕著なものだが、それ以外にも数多くの機能変更や追加が行われている。

Facebookに限らず、多くのネットサービスは小さな変更については、わざわざそれをアナウンスしないし、一部のユーザーにだけ機能を先出しし、その利用状況を元に次の展開を考えることもある。

日々できることが増え、使いやすくなっていくということは喜ばしいことではあるが、一方、ソーシャルメディアという特性上、その多くの機能がユーザーのさまざまな情報が共有されることに繋がっている。つまり、それらの機能をきちんと理解し、適切に設定をしないと、思わぬ危険に繋がることになる。

そのようなFacebookを使う上での注意をわかりやすくまとめたのが、「フェイスブックが危ない」だ。

フェイスブックが危ない (文春新書)

最初、本書のタイトルを見たときに、Facebookという企業自身の危険性を訴えたものかと勘違いしてしまっただが、そうではなく、Facebookというソーシャルメディアを使う上での注意点が書かれたものだった。よく考えたら、まぁ当たり前なのだけれども。

内容的には、IT系のニュースサイトを良く読んでいたりするような人には、目新しい情報は少ないかもしれない。だが、そんな人であっても、まとまった情報がとれるのはありがたい。

正直言うと、本書に書かれていることは多少不安を煽り過ぎではないかとも思った。勧められているとおりの設定をして、注意を守ったら、それこそ窮屈でFacebookを楽しむことができなくなってしまうかもしれない。

だが、ソーシャルメディアの「共有」という機能は、一度の失敗を取り返しのつかないものにさせる。もし、不安を感じるのであるならば、安全サイドに振っておいたほうが無難だ。

私自身はFacebookでの投稿はインターネット上で誰にでも見てもらって構わない内容でしか行わない。範囲を制限することはあるが、それが一般公開されたとしても、数人に謝れば済むような内容でしかない(ある人に内緒でやったことがその人にばれるとかそんな程度)。もっとも、私はノーガード戦法をポリシーとしているので、普通の人だったら一般公開しない内容でも気にしないというところはあるかもしれない。

投稿範囲を制限せずに、一般公開する内容でしか投稿しないのは、Facebookの上での友人管理に失敗してしまったからだ。本書では、筆者の経験から、友人は150名程度に絞ったほうが良いと言っている。この150名というのは後発のPathにおける友人の最大値でもあるので、説得力のある値だ。だが、私はすでに1,200名を超える人を友人としてしまっている。一部例外はあるものの、実際に会ったことの無い人は友人としていないのだが、長いことこの業界にいると知り合いの数だけは増えてしまい、こんな数になってしまった。

しかし、さすがの私も、この本を読んでからというわけでもないが、最近はなんでもかんでも個人情報を垂れ流すことは避けるようにしている。特にしなくなったのが、自分がいまどこにいるかの情報の公開だ。Facebookや位置情報サービスのFoursquareのチェックインは最近はほとんど使っていない。自分が留守にしていることをわざわざ世界に向かって叫ばなくても良い。実際に変な人が出先に急に現れることがあったりして怖くなった。ただ、私が気をつけていても、ほかの人が私と一緒にどこそこにいると投稿したら意味が無い(Facebook上では、自分がタグ付けされたものの公開範囲やタグ付けに関して承認が必要にするように設定もできる)。

本書は、Facebookを始めとするソーシャルメディアの利点などから始まり、その裏にあるリスク、そして最後に「第5章 超絶テクニックを初公開!」で終わる。この第5章では、具体的にFacebookで気をつけるべき設定が解説されている。ここは必見だ。

ネットサービスの特性で、おそらくここに書かれていることも、Facebook側の仕様が変更されたら意味が無くなってしまうのが残念なところであるが、どのようなことが可能かということがわかりさえすれば、設定方法について検索して知ることができる。

新書で読みやすいので、特にITに疎い人にお勧め。

なお、本書の売上によって筆者が得られる印税は全額、震災復興に寄附されると言う。素晴らしい。