それはさておき、Twitterで誰かがつぶやいていたのがきっかけじゃないかと思うのだが、広瀬正という作家を知った。認められるまで長い間不遇な作家というのは多くいるが、彼もその1人。やっと成功が見えてきたかと思ったら、直木賞は連続で落選し、その後、逝去。
早世した人は伝説となるが、彼の場合、タイムマシンを主題にした小説を多く書いていたこともあり、まるで時の旅人として消えてしまったかのように思われたのかもしれない。
この「マイナス・ゼロ」はそんな彼の処女長編作品。処女作には思えないほど凝った内容だ。いわゆる定番のタイムマシンものなのだが、時間旅行の複雑な螺旋に絡めた人間ドラマが素晴らしい。生きた時代を狂わされるという悲劇を感じさせない主人公が良い。
読み終わった後に思ったが、これは「愛」の話だ。昭和初期の日本の描写がまた良い。
マイナス・ゼロ (集英社文庫)
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