2008年7月21日月曜日

書評まとめて(7月まで)

読んだ本がいくつかあるんだが、ぜんぜんここのブログに書けていない。いつか時間が出来たらとか思っているんだが、時間は永遠に来ない。実際には来ているんだが、こういう言い訳をしているときには、その時間はほかのものに消えていく。

ということで、読み終わった本や雑誌をまとめて紹介。もうタイムリーじゃなくなっちゃっているやつもあるけど、ご容赦。

論座 2008年 07月号 [雑誌]
論座 2008年 07月号 [雑誌]

大手メディアである朝日新聞が出しているとは思えないほどの自己批判ともとれるような記事も掲載。メディアスクラムと言われるような話がまだ多く聞こえてくるが、朝日新聞の新人記者の告白も掲載されている。結論が出ているわけではないが、コマーシャル(営利)企業でもあるメディアとジャーナリズムの共存についての意見が読める。また、最近多く耳にする温暖化議論についての反論(一方的にCO2削減が本当に良いのか?)も書かれていて、これも興味深い。アジアのメディア(中国のインターネット民意など)の貴重な情報も得られる。

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 07月号 [雑誌]
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 07月号 [雑誌]

この雑誌は初めて読んだ。先の論壇もそうだが、600円とか700円台でこんな雑誌が読めるとは安いと言ったら、知人に「高いじゃん」と言われた。IT系の雑誌とか平気で千円を超えているから、ちょっと金銭感覚が鈍っているのかも。

リトルプレスやジン、インディペンデント・マガジンなどの動きからインターネット後の雑誌/本の状況が書かれている。ロングテールとかマイクロトレンドと言われている層に向けての動きが見れる。

気に入ったのが、山村光春氏の言葉。
 少なくともボクはこの日を待っていた。多分世界もそうだろう。
 ウェブの到来により、本という存在は「情報伝達のためのマスメディア」という役目からやっとこさ解き放たれ、ドキドキするような動きがゾクゾクと生まれている。
この雑誌、初めて買ったんだが、質感も良い。こういうのはやっぱりインターネットでは味わえない、見て・触って・読んで・感じるという物質としての本や雑誌の強みだと思う。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

なんか知らない間にベストセラーになっていて、続編も出ているみたいなんだけど、まだ話題に成り始めていないころに読んだ(って自慢してどうする)。インタビュー(面接)などではこの類の質問が出されることが多いので、こういうのを解いてみることはたまにあったのだけど、ここまでロジカルに問題とその解法から何を期待するかは考えたことは無かった。この本のことだけでなく、フェルミ推定については今度まとめてみたいと思うが、難しいことは考えずに、クイズとして考えるだけでも楽しい。

参照: ビジネスマンのための「数字力」養成講座

週刊 東洋経済 2008年 3/8号 [雑誌]
週刊 東洋経済 2008年 3/8号 [雑誌]

地頭力については、週間東洋経済の特集も良い。基本は地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」の紹介なのだが、簡潔にまとまっているので、時間の無い人にはこちらがお勧め。しかも、細谷氏以外による紹介もあるし、いろいろなシナリオに応じた地頭力の使い道などもあり、面白い。

ここまで地頭力っていう言葉が流行ると流石に批判もしたくなるし、それだけがすべてじゃないだろうとも思うが、知っていて損はない考え方と思う。

生きさせろ! 難民化する若者たち
生きさせろ! 難民化する若者たち

この本はショックだった。っていうか、実はみんなは知っていたことだったのかもしれないんだけど、私は良く知らなかった。非正規雇用者や正規雇用者でも企業に搾取されて、生活さえ脅かされている人々。プレカリアートという言葉を知ったのも本書からだ。ここ最近は世界大不況の前触れのような感じだが、その以前で企業がV字回復果たした後でも労働者賃金は上がらず、実は多くの社会システムが低賃金労働者の生活を犠牲にした労働によって成り立っているという事実。安価なものに飛びつく市民の行動そのものがこのような社会をさらに加速させる。

読んでいると考えさせられるが、類書やいろいろな立場からの反論なども読んでみたいと思わせる。