個人や組織のゴールを考えるときに良く行うやり方として、VisionからMission、そしてObjectivesとAction Itemsに落としていく方法がある。
VisionとMissionは違いが分かりにくいし、その区別や使い分けも人によって違うことがある。
私は、Visionはどういうものを創りあげたいと思っているか、どういう世界や社会、または会社にしたいと思っているかを表したものだと思っている。夢と共通する部分もあるかもしれない。
Missionはそれを実現するために、あなたやあなたの組織が行うべきことを表したものだ。「使命」という訳語がぴったりくるかもしれない。
ObjectivesやAction Itemsはそれを実際に遂行可能な単位に落としたものだ。
Visionは出来るだけ、その世界観が分かるようにするのが良い。絵にしてみたり、映像にしてみたりするのも良い。Appleが1987年にKnowledge Navigatorというコンセプトをぶちあげたときにもビデオを用意した。
残念ながら見つからないのだが、Microsoftが2001年に.NETを発表した際の一連のビデオも秀逸だった。Tablet PCやWindowsベースのMobile、どこでもつながるネットワーク環境、今で言うARなどが連携した世界が映し出されていた。
これらのような世界を実現するために、Appleはこのようなものを研究します、Microsoftはこのような技術を開発します、というのがMissionだ。.NET FrameworkやVisual Studio.NETというのがObjectivesやAction Planになる。
繰り返しになるが、このようなVision、Mission、Objectives/Action Planの考え方は人によってそれぞれだし、AppleやMicrosoftも私が説明したように使い分けていないかもしれない。
重要なのは言葉ではなく、そのようなBig Pictureを持っているかだ。
今日は参議院議員選挙だ。各党のマニフェストなどを見ていても、どうもこのVisionが伝わってこない。
税制、財政、外国人参政権、少子化対策など、個別に論じている。だが、それらが実現出来た場合に、どのような日本になっているのか、それを想像しづらい。
VisionにはTimelineを付けることが大事だ。つまり、「いつ」までにそれを実現しようとしているのか。
2050年(これは別に2030年でも2020年でも良い)に日本はどうなっているのか?
たとえば、外国人参政権を認めるならば、それにより2050年に日本には移民がどの程度いることになるのか。法人税が下げられるならば、外国からの企業の参入も増えるだろうし、少子化対策が進めば日本人の人口減少も歯止めがかかることになるだろう。ボトムアップで考えても良いが、本来はこれらはトップダウンもしくはBig Pictureから落としこんでいうほうが良い。つまり、2050年の人々の暮らしをこうしたいというところから、それを実現するためには各政策がどうあるべきかを論じる。
今日の選挙では限られた情報からでも、各政党が考えているVisionを想像し、それを支持できるかを判断基準にして一票を投じてみたい。