2009年8月8日土曜日

すきまのおともだちたち

大好きな江國香織さんの小説。表紙にどっかで見た絵。「こみねゆら・絵」って書いてある。どこで見たんだろう。

私はかなりの夢想家だ。いろいろ夢を見て、どこまでが現実でどこまでが夢だったのか、わからなくなることがある。小学生低学年のころにも、友人といろいろと夢の世界を作り上げて遊んでいた。小学校3年ごろだったと思うのだが、不思議な世界を描いた読み物に凝っていた。UFOやUMO(当時はUMOという言葉は一般的ではなかったと思う)など、今と違ってゴールデンタイムのテレビでもギャグとしてでなく、不思議世界の紹介がなされていて、かなりの視聴率をとっていたと思う。夜、友人とUFOを探しに空を眺めたりもした。

四次元の世界というのも当時流行っていた。バミューダトライアングルの話や急に蒸発してしまった人の話など、背筋を寒くさせながら、友人と話した。話すだけでは物足りなくなって、同級生が下校した後の校舎を走り回り、どっかで急に四次元の世界に引き込まれるのではないかとどきどきしたり、わくわくしたり。あっちの世界に行くのが怖いくせに、どっかでそのような存在に憧れる自分がいた。

この「すきまのおともだちたち」は、今までに読んだことのない異色な江國作品。いつの間にか引き込まれてしまった別の世界での少女との友情。あっちの世界は時間が進まず、こっちの世界がメインの自分が年齢を重ねて行く。

当たり前だが、この小説は四次元の世界を描いたものではない。どっかで変わらないものがあること、当たり前のことが当たり前でない別世界。そのようなものをメタファーとした小説だ。

正直、ファンタジーのようなものがあまり得意でない私はあまり引き込まれなかった。ほんわかとしたリズムに包まれるようにして完読はしたが、もう1度読むかと言われると、たぶん読まない。悪い小説ではないと思うのだが、私は現実主義なので。

あれ、冒頭で夢想家って言っていた自分はどこ行った?

すきまのおともだちたち (集英社文庫)
江國 香織

4087462935

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