ダ・ヴィンチ 2009年 01月号のBOOK OF THE YEAR 2008で総合36位に選ばれた城山三郎氏の遺作。この作品、うかつにも知らなかったのだが、ダ・ヴィンチを読んだ後に、是非読んでみたいと思った本の1つ。
そうか、もう君はいないのか
先立たれた妻の想い出を語ったエッセイなのだが、人を愛することのすばらしさがわかる。文学としての出来やストーリー展開などは関係ない。ただひたすらに甘い夫婦生活を描いただけのものが、ここまで人の心を揺さぶる。これは、愛することの素晴らしさゆえか。
ドラマチックな出会いからほのぼのとした夫婦の日常などが書かれた後、本書の中の妻は突然病魔に襲われ、先立っていく。筆者、城山三郎氏の悲しみは氏の言葉よりも、次女によって書かれた後日談(妻が死んだ後の城山氏のことを綴ったあとがき)からわかる。
30分程度で読み終えてしまう。本当はもっとエピソードがあったろう。だが、この程度のあっさりした感じのほうが良い。
あと、本書に出てくる、次の言葉も素敵だ。
静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く
深く考えさせられる。