「はじめまして」
「いや、初めてじゃないんですよ」
これが君との出会いだった。
まだネットが牧歌的だった時代、今なら考えられないかもしれないが、Twitterで呑み会に参加する人を募った。
新宿歌舞伎町にあるShuffle Beatというロックバーで飲み会します。店にあるリクエストブックから自由にリクエスト可能。また、CD持ち込みも可。
- 費用: 自分が呑むだけ。アル中じゃない限り、5千円から7千円もあれば十分過ぎるほどでしょう。
- ルール: ロックについて語りながら呑む。仕事の話厳禁。
- 参加資格: ロックが好きで、参加者の誰かと知り合い(Twitter上の知り合いでもOK)なこと。
今も残るATNDのイベントページには上のように書いてあるが、実際にTwitterでフォローしている・されているだけの人も参加してきた。結構カオスなイベントだった。
そのロック呑み会に参加してくれたのが君だった。初めての出会いだと思っていたのだが、私が話した開発者向けイベントに参加してくれていたらしい。
ロック呑み会はその後も数回開かれたが、全部参加してくれたし、その後、ロック呑み会の仲間数人とこじんまりとした集まりを開くようになった際にも、君は常連メンバーとなって残った。また、技術者向けのイベントや勉強会など、参加するといつも君はいた。そのうちイベント参加時には、ボソボソっと、でも親しげに話しかけてくれる君を探すようになった。
君を含めた呑み会も1年以上開かれなくなり、そろそろまた集まりたいかなと思い始めたころ、君が急死したことを知らされた。
ご両親のいる郷里で葬儀は行われたこともあり、別れの言葉も言えなかったので、最初にロック呑み会を開いたシャッフルビートででもまた集まろうかと思ったのだが、シャッフルビートも無くなっていた。

そういえば、この店を教えてくれたWさんとも久しく会っていない。彼から教えて貰ってから、何度か一人でも足を運んだ。一時はボトルを入れていた。
オーナーが何人か入れ替わったが、カジュアルさは変わらなかった。ロックバーは気難しい店も多いが、ここはそんなことはまったく無かった。1階下にあった系列店ロッキンチェアは一足先に閉店しているから、歌舞伎町で行ける店はもう無くなった。
君の誕生日を知らせてきたアプリを閉じ、Facebookを開いた。ここ最近何も投稿していなかった君のタイムラインはやはり2016年の秋の投稿で終わっていた。