こういう自己啓発本は最近あまり興味が無くなっていて、読まないのだけれど、この本だけはちょっと気になって昨年末に買っていた。もっとも、ブックオフで105円でだが。
興味が無くなっていた理由は、当たり前のことが書いてあるだけのことがあったり、極端な話(超ストイックなことを推奨するようなこととか)が多くとても実践出来そうにないと感じることが多かったからだ。
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この竹中さんの本も、まぁ、そういう本だ。当たり前のことが書いてあるだけであるが、実はこの当たり前のことを書いている本であっても、それはそれで意味はある。ほかの権威ある人もそう言っているって知ることは自信につながるし、当たり前でも出来ていなかったことを再確認して、(もしかしたら100人に1人くらいは)それをやるようになる。
マトリックス勉強法と言っているのは勉強を「天井がある勉強」と「天井がない勉強」の2つと「人生を戦うための武器としての勉強」と「人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」の2つそれぞれを縦と横の2マスずつに入れたマトリックスとして、4マスごとに勉強方法を考えるというのをテーマとしているからだ。だが、正直、あまりこれを意識しなくても良い。書かれている内容はそれを意識してもしなくても有用なものは有用で、自分には使えないと思うものは使えない。
繰り返して書いているように、内容は極めて当たり前のものなので、気になった人は要点を押さえるくらいで良いだろう。目次が良くまとまっているので、それをどっかで見ると良いだろう(本当はここに書こうと思ったのだが、結構な分量なのでちょっと出来なかった)。内容も読みやすいので、中を読みたいという人はもちろん止めない。集中して読めば1時間もかからないで読める。個人的には、本屋で目次を立ち読みか、ブックオフで105円で購入で良いと思う。
2010年1月5日火曜日
2010年1月4日月曜日
いつかパラソルの下で
森絵都さんの作品。
昨年読んだ小説で一番印象に残ったものに、「カラフル」をあげるほど、森絵都さんが最近では気に入っている(2009年 読書感想文リスト)。
いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)
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森絵都さんは児童文学がデビューだったこともあるのか、ストーリーテラーとしては本当にうまい。2時間ものの映画になることが想像できるくらいに起承転結がはっきりしているし、各シーンでの見せどころもしっかりしている。文章も難解でなくリズムがある。まるで初めから計算されて作られたようにさえ感じる。
この「いつかパラソルの下で」では、厳格な父親に反抗し家を飛び出していた主人公が、父親が若い女性と関係を持っていたことを父親の死後知り、同じく家を出ていた兄と逆に父親の寵愛を受け加護のもと育った妹と父親のルーツを探る旅に3人兄弟ででかける。
親と自分との関係は、フロイトの言うところの「オイディプスコンプレックス」のような形での複合的な意識からの脱却だけではなく、結局のところ「弱い存在」としての親を知るところから親を理解し、そして独立するのではないかと思うが、この小説の主人公兄弟はそのような機会を得られぬまま父親との別離を迎えてしまう。小説では、結果として、若い女性の登場により、父親の旧友と会うことが出来、さらには生まれ故郷である佐渡を訪れることで、「当たり前の人間」としての親を知ることになる。
この親の「当たり前の人間」としての姿を知ることの機会喪失は現代の家族問題を象徴するようなものかもしれないと読み終えて思った。
子供にとって親は当初神格化された存在である。その神格化された存在を壊すのは、もちろん成長していく子供なのであるが、それに加えて、親の親であったり、親の親戚であったりする。盆暮れに故郷に帰ったときに童心に戻る親を見たり、良い歳をした親を子供扱いする祖父母や親戚を見たり、故郷の風景とともに語られる子供時代のエピソードを聞くことなどで、神格化された親が人間に戻る。
故郷が無くなり、極端に核家族化された現代の家庭では、このような機会が失われつつある。むしろ祖父母にあたる高齢者が働き盛りの親世代に必要以上に謙らざるを得ない状況さえ生じている。もっとも、この小説のように厳格な父親(または母親)というのも珍しい存在になっているのも事実だ。だが、子供にはどこかの段階で今に至るまでの弱いところも、今現在の弱さも見せるべきではないか。
親の行動や教育が子にどのように影響を与え得るかを考えさせる小説ではあるが、森絵都さんはそれを実にハートフルに、またコミカルに描く。ほかの森絵都さんの小説もそうであるが、ハッピーエンディングであることが常に救いだ。Amazonでのレビューとか必ずしも良くないみたいだが、私は嫌いではない。というか、結構好きだ。
参照 - ほかの森絵都さんの作品のレビュー
昨年読んだ小説で一番印象に残ったものに、「カラフル」をあげるほど、森絵都さんが最近では気に入っている(2009年 読書感想文リスト)。
いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)
関連商品
つきのふね (角川文庫)
永遠の出口 (集英社文庫(日本))
ショート・トリップ (集英社文庫)
アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)
カラフル (文春文庫)
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森絵都さんは児童文学がデビューだったこともあるのか、ストーリーテラーとしては本当にうまい。2時間ものの映画になることが想像できるくらいに起承転結がはっきりしているし、各シーンでの見せどころもしっかりしている。文章も難解でなくリズムがある。まるで初めから計算されて作られたようにさえ感じる。
この「いつかパラソルの下で」では、厳格な父親に反抗し家を飛び出していた主人公が、父親が若い女性と関係を持っていたことを父親の死後知り、同じく家を出ていた兄と逆に父親の寵愛を受け加護のもと育った妹と父親のルーツを探る旅に3人兄弟ででかける。
親と自分との関係は、フロイトの言うところの「オイディプスコンプレックス」のような形での複合的な意識からの脱却だけではなく、結局のところ「弱い存在」としての親を知るところから親を理解し、そして独立するのではないかと思うが、この小説の主人公兄弟はそのような機会を得られぬまま父親との別離を迎えてしまう。小説では、結果として、若い女性の登場により、父親の旧友と会うことが出来、さらには生まれ故郷である佐渡を訪れることで、「当たり前の人間」としての親を知ることになる。
この親の「当たり前の人間」としての姿を知ることの機会喪失は現代の家族問題を象徴するようなものかもしれないと読み終えて思った。
子供にとって親は当初神格化された存在である。その神格化された存在を壊すのは、もちろん成長していく子供なのであるが、それに加えて、親の親であったり、親の親戚であったりする。盆暮れに故郷に帰ったときに童心に戻る親を見たり、良い歳をした親を子供扱いする祖父母や親戚を見たり、故郷の風景とともに語られる子供時代のエピソードを聞くことなどで、神格化された親が人間に戻る。
故郷が無くなり、極端に核家族化された現代の家庭では、このような機会が失われつつある。むしろ祖父母にあたる高齢者が働き盛りの親世代に必要以上に謙らざるを得ない状況さえ生じている。もっとも、この小説のように厳格な父親(または母親)というのも珍しい存在になっているのも事実だ。だが、子供にはどこかの段階で今に至るまでの弱いところも、今現在の弱さも見せるべきではないか。
親の行動や教育が子にどのように影響を与え得るかを考えさせる小説ではあるが、森絵都さんはそれを実にハートフルに、またコミカルに描く。ほかの森絵都さんの小説もそうであるが、ハッピーエンディングであることが常に救いだ。Amazonでのレビューとか必ずしも良くないみたいだが、私は嫌いではない。というか、結構好きだ。
参照 - ほかの森絵都さんの作品のレビュー
2010年1月2日土曜日
2009年 読書感想文リスト
昨年に引き続き、前年の読書感想文リストを載せる。
昨年は一昨年より少なく、56冊の本を読んだ(コミックと技術書および読んだことを覚えてさえない書籍は除く)。傾向としては例年と変わらない。昨年、以下のようなことを言っていたのだが、まったく変化ない。
参考: 2008年 読書感想文リスト
昨年は一昨年より少なく、56冊の本を読んだ(コミックと技術書および読んだことを覚えてさえない書籍は除く)。傾向としては例年と変わらない。昨年、以下のようなことを言っていたのだが、まったく変化ない。
薄い本や読みやすい本に流れる傾向が無かったとは言えない。思考の整理学にも書かれているように、あえて歯ごたえのある本にチャレンジしないと脳が退化してしまう。そこで今年はいろんな分野で古典として読まれている本は一通り読んでみることとする。あー、言っちゃったぁ。がんばる。その56冊をリストアップすると次のようになる(投稿日時の新しい順)。リンクはそれぞれのレビューが書かれている投稿に飛ぶ。
2008年 読書感想文リスト
- 「愛」という言葉を口にできなかった二人のために
- 世界は「使われなかった人生」であふれている
- ウエハースの椅子
- ジーパンをはく中年は幸せになれない
- マイナス・ゼロ
- 工場萌え
- 工場萌えF
- 生命保険のカラクリ
- ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語
- 就活って何だ 人事部長から学生へ
- 夜の公園
- 被告人、もう一歩前へ。
- 完全失踪マニュアル
- 高校野球「裏」ビジネス
- バーボン・ストリート
- アイデン&ティティ 32(これはコミックだが、特別)
- 少女病
- 風に舞いあがるビニールシート
- アーモンド入りチョコレートのワルツ
- リズム
- ゴールド・フィッシュ
- しがみつかない生き方 「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール
- 人生の軌道修正
- 仕事するのにオフィスはいらない
- なぜ宇宙人は地球に来ない?
- 日本人の知らない日本語(半分コミック)
- 現実入門 ほんとにみんなこんなことを?
- すきまのおともだちたち
- 2011年 新聞・テレビ消滅
- カラフル
- つきのふね
- デジタル社会はなぜ生きにくいか
- ひと月15万字書く私の方法
- この世でいちばん大事な「カネ」の話
- ダメな女
- ウェブはバカと暇人のもの
- 太らない病気にならない体のつくり方
- 落下する夕方
- 僕に踏まれた町と僕が踏まれた町
- 少年A 矯正2500日全記録
- 「少年A」この子を生んで・・・父と母悔恨の手記
- 外資系企業で成功する人、失敗する人
- 今夜、すべてのバーで
- こうばしい日々
- 3時間台で完走するマラソン まずはウォーキングから
- 粗食のすすめ
- センセイの鞄
- クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図
- 次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの
- 転職する人、できない人
- キャリア転機の戦略論
- 就活のバカヤロー
- 安岡正篤に学ぶ
- 走ることについて語るときに僕の語ること
- だからWinMXはやめられない
- 考えるウォークマン
- 1位:「カラフル」- 昨年は森絵都さんを知ることができた。この他にも何冊か読んでいて、「風に舞いあがるビニールシート」も素晴らしい1冊なのだけれど、あえて森絵都さんの著作の中から1冊を選ぶとすると、これになる。少年少女向けというところが、かえって青臭いことを考え直すきっかけになる。
- 2位:「『愛』という言葉を口にできなかった二人のために」および「世界は『使われなかった人生』であふれている」。2冊になってしまったが、沢木耕太郎さんの作品で2冊で1冊のようなところがあるので許して欲しい。昨年11月頃に読んだのだが、1つ1つのエッセイが光っている。映画の魅力を再認識出来たし、それを通じて「人」の魅力も再確認出来た。
- 3位:「走ることについて語るときに僕の語ること 」。私が体を動かし始めたころに読んだ1冊。ストイックな生き方に憧れるけれども、それにスティックすることは拒否したい。そんな矛盾した考えに支配されているのだが、村上春樹さんの「走る」ことへの想いが詰まったこの本からは、一つ自分のインデックス(ベンチマーク)となるものを持つ暮らし方をすることの魅力を知ることが出来る。呑むのも良いが呑んでばかりじゃだめだ。
参考: 2008年 読書感想文リスト