2015年2月24日火曜日

シューズのサイズ と 「ランニングの作法 ゼロからフルマラソン完走を目指す75の知恵」の感想

しつこく東京マラソンのネタが続くが、東京マラソン出走前に実はひとつ気になることがあった。それがランニングシューズのサイズだ。

実は、ここ数回の大会では常にシューズのサイズミスマッチに悩まされていた。一昨年の秋から冬のシーズンでは足囲(ワイズ)が狭いものを選んでしまっており、その後、買い替えたものも、そちらも何かしっくりこなかった。実際、レース後には常に爪が内出血を起こしてしまい(爪下血腫)、しばらくして爪が剥がれるという事態に陥っていた。昨年の湘南国際マラソンまではadidas adizero takumiを愛用していたのだが、

[アディダス] adidas adizero Takumi Ren

やはりこれは自分には合っていないと思い、以前に使っていたアシックスのに変更したのが、昨年のつくばマラソンの直前だ(購入したのはTARTHER JAPAN)。

asics アシックス ターサージャパン 【TARTHER JAPAN】 (ホワイト×ネイビーブルー) ランニングシューズ【TJR070-0150】

つくばマラソンは準備不足で結果が今ひとつだったのだが、シューズは久しぶりに合っているように感じていた。しかし、東京マラソンEXPOでアシックスのコーナーで足のサイズを測ってもらったところ、衝撃の事実が判明する。右と左で微妙にサイズが違うのだが、右足は26.5cmであった。これはシューズのサイズとしては27.5cmか27cmになるという。私のシューズは26.5cmだとアシックスのスタッフに伝えたら、それは小さすぎるはずだと言われた。しかし、もうそんな直前で買い換えるわけにはいかない。

そのため、シューズに不安を抱えたまま東京マラソンに出場した。知ってしまったからというのもあるかもしれないが、シューズが窮屈に感じる。30km過ぎからは爪先あたりが微妙に痛くなった。

レース終盤は昨日のブログに書いたように、右膝の痛みのほうが大きかったので、爪先の痛みは忘れていた。しかし、ゴールしてからは逆に爪先や親指の付け根あたりが痛み、歩くのも苦労するほどに。

実は、東京マラソンの3週間くらい前に、AmazonのタイムセールでKindle版が安かったからという理由で購入した「ランニングの作法 ゼロからフルマラソン完走を目指す75の知恵 」にもサイズにあったシューズを選択することの重要性は書かれていた。

書籍では、特にショップでサイズをきちんと計測する必要性と試し履きを正しい方法について書かれており、次回シューズを買うときには言われたとおりにしようとは思っていたところだった。結果論になるが、3週間前であれば、まだ大会に間に合っただろう。あの時に買っておけばと後悔してももう手遅れだが。

東京マラソンEXPOのアシックスブースで計測したデータはまだ手元にあるので、今回こそは本当に自分にあったサイズのシューズを購入しようと考えている。また、TARTHER JAPANは少し私には早過ぎるようだ。もう少し安定性を確保したモデルにするつもりだ。今週末にでもアシックスショップに行こうかと思っている。

で、タイムセールで安かったからという理由でKindle版を購入した「ランニングの作法 ゼロからフルマラソン完走を目指す75の知恵 」だが、内容は他の類似書籍などで読んだことがあるものがほとんどではあったが、大変わかり易く、また細かく分類されているので、必要なところだけサクッと目を通すことが出来る。このブログ記事を執筆現在(2015/02/24 22:27)では、Kindle版も540円しているが、ランニングを始めたばかりであれば、このくらいの価値は十分あるだろう。すでにランニング経験ある人であっても、まだサブ4を実現していないぐらいの人であれば、タイムセールで安くなったりすることがあったら、購入しても損はしないと思う(なんとも微妙な勧め方で恐縮だ)

ランニングの作法 ゼロからフルマラソン完走を目指す75の知恵 (ソフトバンク新書)
ランニングの作法 ゼロからフルマラソン完走を目指す75の知恵 (ソフトバンク新書)

東京マラソン2015結果

念願の東京マラソンを昨日走ってきた。

心配だった天気も、スタート時点でこそ雨が少しぱらついていたが、それ以降は実質まったく降られなかったと言っても良いくらいだった。暑すぎず、寒すぎず、むしろマラソンにはベストの天候だった。品川で折り返してから第一京浜の上りで強い逆風が吹くのではないかと覚悟していたが、それも無く、本当に快適だった。

それもあってか、結果は3時間59分37秒。
目標だったサブ4はぎりぎり達成。


自己記録は3時間55分なのだが、今回はレース前に風邪をひいてしまい、あまり走れなかったことなども考え、自己記録更新ではなく、今シーズン初となるサブ4を狙いにいっていた。

ここしばらくはネガティブスプリット(「マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる!」書評参照)を達成することにこだわっていたが、東京マラソンのコースは前半に下りが続き、後半に上りがある。そのため、ある程度前半にペースが速くなり、後半に落ちるのは覚悟することとした。


本番でもほぼ計画通りにペース配分出来た。沿道で応援してくれていた友人たちにペース配分表を共有していたのだが、ほぼその通りにトレースしていたと言ってくれた。誤算だったのは、RunKeeperというスマートフォンアプリが途中でGPSの捕捉に失敗したことだ。

実際の距離とRunKeeperが言う距離がずれていることに気づいたのが、15kmを過ぎたあたりだったのだが、終わってからRunKeeperのログを見ると、第一京浜に入る前あたりでGPSを捕捉出来なかったようだ。都心でビルの谷間などに入ると、GPSを補足しにくくなることを考えると、これは覚悟しておくべき事態だった。

いずれにしろ、それに気づいてからは、手元の時計(EPSONのWristable Watch)でペース配分を確認した。しかし、これまた準備不足と言われたら返す言葉も無いのだが、時計はリアルタイムでの確認時点でのペースを確認するつもりでしかいなかったため、RunKeeperで確認しようと思っていた累計の平均ペース確認を行う方法がわからず、また友人には渡していたにも関わらず、その肝心のペース配分表を持参するのを忘れていた(ペース配分表は2013年の湘南国際マラソンでの例を参照)。そのため、実は途中から自分の正確なペースがわからないで走っていた状態だった。

RunKeeperが頼りにならないとわかってからしばらくは、時計などの情報から、前半に予定よりもペースをあげすぎていたので、かなりペースを抑えないといけないと判断した。その判断は間違っていなかったのだが、どうやら逆にペースを抑えすぎてしまっていたようだ。RunKeeperの言うペースに少し水増ししたり、時計が表示するペースから判断はしていたのだが、なんか怪しいと気づいたのが、37km過ぎ。残り5kmを切るかというあたりで、3時間28分をすでに経過しているというの気づいた。このままではサブ4達成は難しい。実は、その時点までは結構余裕でサブ4を達成できるのではないかと思っていた。あわよくば3時間55分を切れるかも。そんなことさえ考えていたのだ。今考えると、楽観的にも程がある。

しかも、最悪なことに、ちょうどその辺りで右足の膝に痛みが出てきた。もしかしたら前半のペースが速すぎたのかもしれないし、練習不足だったせいかもしれない。だが、予定では、最後に余力があったらペースを逆にあげようかというタイミングでペースを落とさざるを得なくなった。これにはかなり焦った。

とりあえず、足が痛くなくなるまでペースを落とした。だが、決して歩くことはしなかった。とにかく、恥ずかしくない走りをしようと(なんたって「露出狂作戦」を実施中だったから。東京マラソン前日のブログ記事を参照)。

結果、41km過ぎたあたりから痛みが治まってきて、ペースをあげることが出来た。これが功を奏して、ぎりぎりサブ4達成。本当に良かった。

最終的なラップタイムや平均ペースは次のとおりだ(EPSON NeoRuntから。フルデータはこちら

これを見ると、25km以降にペースを落とし過ぎているのがわかる。

もし、RunKeeperがGPSをきちんと捕捉し続けられていたら、または私がちゃんと時計での平均ペースなどを把握することが出来ていたらと考えてしまうが、それは高望みしすぎだろう。

それにしても、東京マラソンは想像以上に素晴らしい大会だった。コースも走りやすく、運営もほぼ完璧。ボランティアの方は1万人いたらしいが、素晴らしく統制がとれていて、皆とてもフレンドリーだった。テロを心配してか、沿道の応援が例年より少なかったのではないかと言っている人がいたが、そのおかげで私の友人たちも余裕ある場所で応援を出来たようだ。

関係者の方々に感謝したい。

さてと、どうやってまた来年出場しよう。

2015年2月21日土曜日

東京マラソン前日

苦節4年、ついに東京マラソンを走ることが出来る。


2012年から挑戦し続けていたが、やっと当選した。昨日深酒をしてしまい、今日は二日酔いで過ごしてしまったが、昨日は東京マラソンより大事なイベントだったのだから仕方ない。

それより天気が悪いようだ。現段階での予報は曇のち雨。風も強いようだ。雨女/雨男の参加者を恨む。

東京マラソンのランナー受け付けは前日である今日までにゴールである東京ビッグサイトで済ませておかなければいけない。私は初日の木曜日に行ってきた(写真)。東京マラソンEXPOも併設。長野マラソンなどでも受け付け会場での物販などがあるが、東京マラソンEXPOは半端ない規模だった。

受け付けを済ませた後のコーナーに、コース図を模したパネルがあった。少し人だかりができていた。遠くからではわからなかったが参加ランナー全員の名前が書かれていた。




絵馬(紙製)で完走を祈願。


今年初めのブログでも書いたが、自分の恥ずかしい姿を晒したくないという気持ちが特に30km以降に心を折らずに走り続ける技術かもしれないと思う。明日の東京マラソンでも、昨年の湘南国際マラソンで私が使ったものと同じように、10kmごとの通過時間を自動的に自分のソーシャルに投稿してくれるというSOCIAL_MARATHON TOKYO 2015があったので、早速エントリーした。私のFacebookのタイムラインに通過時間が投稿されるので、後半歩いたりすると、ばればれだ。また、東京での開催ということもあって、沿道で応援してくれる友人もいる。明日はとにかく歩かないように頑張ろう。


2015年2月15日日曜日

中森明菜 〜アーティストが他アーティストの楽曲をカバーするということ〜

「え、大丈夫?」

中森明菜の全盛期を知らない彼女は不安そうな眼差しを私に向けた。
昨年末のNHK紅白歌合戦で中森明菜がニューヨークから出演した時のことだ。

聞き取れないほどの小さい声で、意味不明な挨拶をし始めたのを聞いて、私でさえ森光子以来の放送事故かと思ったほどだ。

だが、中森明菜が歌い始めると、今度は別の意味で彼女は驚く。

「おんなじ人だよね」

中森明菜が復活した瞬間だった。

Rojo -Tierra- (初回限定盤)(DVD付)
Rojo -Tierra- (初回限定盤)(DVD付)

思えば、私と同い年であるにも関わらず、中森明菜の楽曲をまともに聴いたことが無い。スカした中高生だった私はアイドルなるものを全否定していて、同級生が中森明菜や松田聖子、河合奈保子といったアイドルの話をしていても、そこに加わることは無かった。

だが、同時代を生きるというのはこういう状況のことを言うのだろう。ヒットした曲のほとんどは歌えるし、その時代の出来事がすぐに思い浮かぶ。

昔なら考えられなかったことだが、中森明菜の紅白歌合戦の出演を見た後、すぐに彼女のCDを予約した。

紅白歌合戦でも歌ったRojo -Tierra-と今回の復帰前の中森明菜の活動の中心だったというカバー曲集の新盤である歌姫4 -My Eggs Benedict-

発売開始してすぐに、CDが届く。
Rojo -Tierra-は紅白でも聴いていたので、歌姫4から聴いてみた。だが、これはどうにもいただけない。完全に個人の趣味の話だが、彼女には他人の楽曲のカバーは合っていないのではないだろうか。

もともと声量があるほうではない。音域も狭い。CDだったらいくらでも制作時に変化を付けることも出来るだろうが、あえて彼女のこの特徴を活かすようにしている。私はそれが裏目に出ているように聴こえる。

1曲目のスタンダード・ナンバーは南佳孝の名曲で薬師丸ひろ子もメインテーマというタイトルで歌ったもの。男性の楽曲を女性がカバーするというのは面白いのだが、すでに薬師丸ひろ子が歌ってしまっているイメージが残っているし、アレンジはオリジナルの南佳孝のに近く、中森明菜としての色が出せていない。

2曲目の真夜中のドア〜stay with meは亡くなった松原みきのカバー。ラテンな感じのアレンジだが、ラテンアレンジだと同じく亡くなった松岡直也のミ・アモーレを思い出してしまい、酷なようだが、それとの差が歴然としてしまう。

きりがないので、もうやめるが、6曲目の愛のうたのアレンジなどはまったくいただけないと思う。

と、このように、個人的には極めて残念な感じなカバーアルバムなのであるが、それは中森明菜という重さが、元の楽曲に違う息吹を与えるというカバーに対しての極めてカジュアルな音楽の楽しみ方とマッチしていないからなのかもしれない。

それとは対照的にオリジナルのRojo -Tierra-は中森明菜らしさが良く出ている。浅倉大介と鳥山雄司による現代的なアレンジも素晴らしい。

こう考えると、中森明菜は何故カバーを歌うのだろう。それは「歌い継ぐことによって、後世に楽曲が残されていくことが出来れば(Wikipediaより)」という思いからなのか。

中森明菜の前に、名曲をカバーすることで復活したのが徳永英明だが、彼も同じようにコメントしている。「僕の歌う言葉とメロディがその人のプラスアルファの命になったらいいな、と。そう思って、時代の名曲を歌おうと思った」(「大病で引退寸前」から「カバーブームの牽引者」へ 徳永英明の波瀾に満ちたキャリアとは? - Real Sound|リアルサウンド

自分の歌唱力に自信がある場合、名曲を歌いたくなるものなのか。ただ、この2人に共通しているのも、厳しい状況の時や復帰時にカバーに挑んでいるということだ。同じような状況だったのが、椎名林檎だ。

唄ひ手冥利~其の壱~
唄ひ手冥利~其の壱~

彼女も出産後の復帰時にカバーアルバムを制作している。ただ、椎名林檎のカバーは原曲を破壊し、再生するというプロセスを経て制作されるものであり、私が椎名林檎の大ファンであるということを差っ引いても、中森明菜や徳永英明のそれとは違い、むしろジャズにおける主題と同じようなものではないかと思う。

アーティストにとって、カバー曲を手がけるか、さらにはそれだけでシリーズ化してしまうようなことをするかどうかというのは、アーティストとしてどこまで現役かということにも関わってくる。結局、カバーというのは過去のヒット曲に頼っている状態である。それが自身のものであれば、ベスト盤やセルフカバーという形になる。いずれにしろ、現役として常に新作を出し続ける、それにこだわるアーティストというのもいる。

今年初め、沢田研二のライブでの暴言が話題になり、それに反論するファンのブログがまた注目された。

◆「沢田研二論」 ~黙っとれ!の窮状~|中村区中村町の中村

マナー論については正直どうでも良いと思うが、少なくとも沢田研二が新作にこだわり続ける姿には敬意を表する。ロックだなと思う。

私生活でも話題を提供し続ける中森明菜であるが、ハラハラさせるようなその生き方もまたロックだ。カバーなどでお茶を濁さず、是非オリジナルに拘って、同時代を生きる我々にも刺激を与え続けて欲しい。

冒頭に出てきた中森明菜の全盛期を知らない彼女も言った。

「でもこの人、好きだよ。歌い始めた時に空気変わったもんね」

空気を変えられる唄い手はそう多くない。