2013年4月29日月曜日

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記
月とにほんご 中国嫁日本語学校日記

一時ほどではないが、会社にいろいろな出版社から献本が届く。IT系の本や付き合いのある著者や編集者からならわかるのだが、たまに送られてくる理由が良くわからないものもある。

月とにほんご 中国嫁日本語学校日記」もそんな本。

どこかで見たことのある絵だなと思ったら、「中国嫁日記」の著者の本だった。こちらもちゃんと読んだことは無いが知っている。

コミックエッセイ(それともエッセイコミック)というのだろうか、著者の日常をコミック形式と軽い文章で綴ったもの。読みやすいので、重い物を読む元気が無いときとかに良い。睡眠前や入浴時など。

そんな軽い気持ちで読み始めたのだが、中国嫁から見た日本語を綴った本書は思いの外(失礼!)、中身も結構充実している。矢澤真人氏(筑波大学教授)が監修として中にも登場しているが、日本語を学ぶ人から見た日本語の不思議が解説されている。

たとえば、「ぜんぜん」は否定で受けると私は覚えており、最近の否定以外でも受ける文章を正しくないと思っていた。しかし、「ぜんぜん」は明治時代にできた言葉で、当時は「すべて」という意味だったと言う。その後、否定で受けるのが一般しただけであり、現代の否定以外で受けるのは元の用法が復活したに過ぎないという。

そのほかにも、「生きた」日本語としての解説がされており、某IMEを開発したときに叩かれた身としては (^^;;; 自分たちの主張が間違っていなかったと理論武装できる大変心強い解説だ(じょーだんですので、本気にしないように)。

ほかにも、「ビルが建つ」のような言い方は中国語ではしないらしく、不思議な表現に思えるらしい。「XXX(人)がビルを建てる」が正しいはずであり、そこに主体をぼかす日本人の特徴が現れているとも言う。

読みやすいわりに(再度、失礼!)、得るものが多い。献本、ありがとうございました。