2011年11月14日月曜日

ホイト親子の夢と勇気の実話 やればできるさ Yes,You Can.



タイトルがどうにかならんかと思うが、知らない人に知ってもらうにはこのタイトルでも仕方ないかと思う。「Yes, You Can」というのは後述するが、ふさわしいかも。

YouTubeなどでも有名になっているようだが、生まれつき障害を持った息子に普通の生活をさせよう、一般の教育を受けさせようとする夫婦。ここまでは良くある話ではあるが、彼らは決して諦めない。ある日、車椅子でしか移動が出来ない息子が言う。「お父さん、僕は走りたい」マラソンレースを見た息子は父に言う。その日から車椅子に乗る息子を押して走る父が生まれた。初めは完走がやっと、そのうちに一般ランナーに負けないスピードで。さらにはトライアスロンにも挑戦。



こういうお涙頂戴的なものには射で構えてしまうのだけれど、それでも本書で彼らの成し遂げてきたことを追っているうちにどんどん引き込まれる。

家族の愛であったり、人間としての尊厳であったり、絶え間ない挑戦であったり。そのようなものを考えさせられる。

初めにこの話を聞いたとき、やっぱりアメリカは違う。日本だったら障害を持った人間を車椅子で押しながらマラソンやトライアスロンを走るなんて、まず許可は得られない。悔しいけれど、やっぱりアメリカは自由の国だし、ダイバーシティを重んじているなと感じた。

だが、この本を読むと、彼らはなんどもダメと言われていることがわかる。そのたびにさまざまな手段を用い、挑戦し、失敗してもまた挑戦する。

「Yes, You Can」は講演で彼らが聴衆に覚えて帰ってほしいという3つの単語だそうだ。彼らは何度となく「No, You Can't」と言われ続けてきた。健常者と同じ教育を受けることも、そしてマラソンやトライアスロンに正式に選手として参加することも。

ホイト親子の夢と勇気の実話 やればできるさ Yes,You Can.

本書によると、息子を支えてきた夫妻は現在は離婚しているという。見えないところではいろいろと苦労や課題があるのではないかと想像するが、それでも走るという極めて原始的な人間の行動原理を用いて、彼らは何かを伝えてくれていると思う。

以前に書いた「アスリートと生」もあわせて読んで欲しい。